教育福島0061号(1981年(S56)06月)-040page

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コミュニティスクールとして歩みはじめた郷ヶ丘小

 

−いわき教育事務所−

 

遠くの山々がよく見えます。

 

遠くの山々がよく見えます。

白い校舎 広い校庭

郷ヶ丘小学校−

ここが、私たちの学校です。

せまい校庭で

ほこりっぽいプレハブ教室で

きょうの日の来るのを

じっと待っていました。

(中略)

生まれたばかりの この学校は

きょうから私たちといっしょです。

みんなで、力を合わせて

りっぱに育てます。

郷ヶ丘小学校−

これが、私たちの学校です

(開校式での児童代表のよろこびのことばの一節)

 

いわき市郷ヶ丘小学校は、同市七十番めの小学校として、去る四月六日開校式を挙げた。

郷ケ丘小の校区は、日本一の面積を誇るいわき市の最も活況を呈す部分、そのほぼ中央に位置する。宅地造成に着手して約十年。緑したたる広大な丘陵は、色とりどりの屋根で彩られたモザイク模様と変わった。校区を形成する二大団地につけられた名称「郷ヶ丘」「自由ケ丘」はともに住民の新しい町つくりへの意欲にふさわしい。

郷ヶ丘小建設は、過密に悩む平五小の規模の適正化と遠距離通学の解消という、行政と住民の両サイドからの悲願を乗せて、総額約四億円(用地関係費を除く)を投じて行われた。現在十四学級、児童数五百五十プールと体育館も年度内竣工の予定である。

正門に立つ植栽の美しい長いアプローチのかなたに白亜鉄筋三階の校舎が偉容を示す。中央部で鈍角(百十度)に屈折しているのが特徴的である。これは、二十四学級への拡張を考慮した用地の効率的活用と、冬の各教室への日照時間の均等化を図るものである。集会や遊びに活用される校舎前庭から舗装道路をはさんで主運動場が展開する。二百メートルトラックに百十メートル直線走路六コースが外接する広大さである。主運動場の西側に、団地と学校とを隔てることをねらいつつ、住民の憩いの場として設定された運動緑地公園がある。校地の東・北面は美しい丘陵・山林が連なることから、学校は団地の中で隔絶された世界となる。

しかし、地形的には隔絶されても、機能的には、小学校と地域の密接な関連が求められる。郷ヶ丘小は、その発想や設計段階から、市教委・市長部局関係各課・住民代表らがプロジェクトを組み、数次の打ち合わせを重ね、その合意のもとに学校づくりが進められた。前述の運動緑地公園の位置の決定、学校施設の一部地域開放など、事例にはこと欠かない。

新興住宅団地といえば、とかく弱民の連帯意識が希薄でまとまりにくいという印象が濃いが、小学校を核として新しい町づくりをしょうとする郷ヶ丘・自由ヶ丘の二地区−その意を体して文字通りコミュニティスクールとしての道を歩む郷ヶ丘小。郷ヶ丘小の経営は、郷ヶ丘に境を接して南に延びる巨大団地、いわきニュータウンと、そこに建設されるであろういくつかの小・中学校に大きな示唆を与えることは疑いの余地がない。

郷ヶ丘に居を構えた郷ヶ丘一世たちは町をつくり学校をつくった。郷ヶ丘小に学ぶその二世たちは、二十年か三十年後に、団地はおろか世界の主役として活躍するに違いない。そのためにも、郷ヶ丘小の校長以下二十名の教職員は人間性豊かな児童の育成をめざしつつ、開拓の労苦を収穫のよろこびに変えるべく、一丸となってがんばっている。

 

さあスタートだ

さあスタートだ

 

 

 


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