教育福島0061号(1981年(S56)06月)-044page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

こぼればなし

 

「鑑真和上を慕う会友好訪華団」の団長として、中国の旅から帰られた佐久間敏氏からお便りをいただいた。「……四月二十七日上海に飛び、五月六日夜成田に帰ってきました。一行三十二名病気もせず、事故も起こさず、元気でまずまずの成果を得て参りました。同行の秘書長役であった海野昇雄さんの旧友で、“唐大和上東征伝”を共同翻訳された郭人奇さんとも上海のホテルと揚州の大明寺で面会することができました。海野さんと郭さんの劇的な再会は、涙なくしては居られませんでした。………」と、訪華中の思い出話が、氏の軽妙なタッチで書かれている。

大明寺といえば、昨年鑑真像が里帰りした寺院でもあり、実際この寺に鑑真和上が居られたわけだが、この大明寺での氏と郭さんとの再会の折りに、墨蹟鮮やかな書をいただいたという。題して、「教育福島順」。二・三月号で海を渡った「教育福島」を紹介したが、今渡は何やらほめられているらしい。こそばゆいが、やはりうれしいものだ。

海野昇雄氏の訳によると、「福島の好刊物、人を謹むるに意味長し。文を載せて流俗を刺し、鐸を振りて疏狂を警す。黙化して全く迹なく、潜移して真に方あり。徳風は華真に聞こえ、事業は永く彊りなし」と書き下すそうだ。 「教育福島順」の「順」は、ほめたたえて詠んだ詩文、「疏狂」とは、粗骨で気違いじみていること、「潜移黙化」は、知らず知らずのうちに人を感化すること。「華夏」は、中国人が自国を称することばで、「華」は、はなやか、「夏」は大の意味を持つということである。参考までに。

 

あとがき

 

あとがき

 

○ 水無月の朝顔涼し朝の月(樗良)

〇 六月。新入生も小学校、中学校、高等学校と程度の差こそあれ、生活環境にも慣れ、文字通り、充実した学校生活を送っている時期である。

〇 六月はまた、陰暦では晩夏であるが、現在の暦の上では初夏に当たる。一年のちょうど半ばで、折り返し点である。たとえ、折り返し点で後れていても、後半の実りのために頑張って欲しい。

○ 麦秋1。寒さに耐えた麦の収穫もこの時期である。百穀成熟は、秋の節であるが、麦はひと足はやく夏に取り入れがなされる。

○ 折り返し点で実りに達するもの、秋の実りの時期に熟れるもの。ともに豊かな実りであるはずだ。

(ひ)

 

「教育福島頒」郭 人奇氏書

「教育福島頒」郭 人奇氏書

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。