教育福島0061号(1981年(S56)06月)-046page

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ふるさと探訪

 

県指定重要文化財(彫刻)

 

木造聖観音菩薩立像 一◆

 

像高 一四九センチメートル。

ヒノキ材の一木彫成で、漆箔、両肩、肘先、足先等をハギ合わせる。左手に含白蓮をとり、右手でそれを拈ずる聖(正)観音通例の姿になっている。

後補の金属製の宝冠、瓔塔を飾るが、髻宝は小さく、また面貌は、彫眼で厳しく、目と口唇は彩色する。耳柔は太く張りがある。

上半身は、左肩から右腰にやや幅広い条吊をかけ、腰裳の折りかえしや下肢のまとめは慶派の影響をうけ古様も見られるが、ややバランスに崩れがあり、製作年代は鎌倉末期であろう。左脇に焼痕が見られるが、原型を損うことはない。両肘にかかる天衣は後補である。

なお、竜泉寺は、「永松山略記」によれば、もとは白光山瑞祥寺と称し、元応二年庚申(一三二〇)、恵燈律師が行基菩薩作の正観音を得て開山したという古刹である。真言律宗であったと思われる。応安七年甲寅(一三七四)と、応永一三年丙戌一一四〇六一の二度火難にあったが、幸い仏像は難を免れたと縁起にある。

寛正元年庚辰(一四六〇)、加賀金剛寺の祖超禅師の高弟直心禅師によって再興され、以来曹洞宗に変わったという。元禄九年一二八九六一当時の末寺は、二十二か寺といわれる。

以上、この寺の観音堂の秘仏として安置されてきた本像は、「縁起」の伝承とも一致する貴重な存在である。

 

所在地 二本松市二伊滝一丁目八一番地

所在地 二本松市二伊滝一丁目八一番地

所有者 竜泉寺

 

 

 

 


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