教育福島0062号(1981年(S56)07月)-032page

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教育センターから

 

昭和55年度の教育相談を顧みて

 

一 教育相談の実施概況

昭和五十五年度の相談は、移動教育相談を含め相談実人数二百五十一人、相談延べ人数一千十四人で、前年度と比べると、実人数で九人の減(三%の減)延べ人数で百八十四人の減(十五%の減)である。対象別にみると小・中学生の利用が多く、また、中・高校生の相談の実人数は年々増えている。(図1、表3)

 

図1 対象別(幼・小・中・高)相談の推移

(一) 性格・行動、特に登校拒否の相談が多い

 

(一) 性格・行動、特に登校拒否の相談が多い

性格・行動に関する相談が実人数で百八十七人(七十四・五%)を占め、その中でも登校拒否が圧倒的に多く、実人数で百五人となっている。これは相談実人数全体の四十一・八%に相当する。特に、中・高校生の登校拒否の相談が多い。(表1)

 

表1 登校拒否児童生徒の割合

表1 登校拒否児童生徒の割合

 

中・高校生は、年齢的に思春期や青年期に当たり自我が確立する時期である。登校拒否を起こす生徒は、自分を正しく見つめることができず(自己概念の未発達)、簡単に安住の場としての家庭に逃避しやすい。幼児期から家庭教育や学校教育を通し、耐性を訓練する機会が少なかったことがうかがえる。

中学生では、家庭内暴力を伴ったものがいくつか見られ、中には指導により良い方向に向かっていたものが、タイミングの悪い担任の家庭訪問や出席督促などの登校刺激で情緒不安定になり、家庭内暴力を再発させたケースもあった。

高校生の登校拒否のうち、症状の重いものについては休学届を出させ、継続的な来所によりカウンセリングを受け、四月からの学校復帰や就職の見通しがっき、三月で無事相談を終了しているものもある。これは休学によって情緒が安定し、自己洞察が順調に進んだため、と考えられる。高校生の場合は、入学後間もなく不適応を起こす事例が多い。中学校段階での慎重な進路決定、高校においては入学当初のオリエンテーションを十分に行い、高校生活についての理解を深めることや的確な適応指導がなされることが大切である。

(二)非行の相談が増えてきた

非行の相談は年々増え、過去二年間にわたって、登校拒否についで第二位を占めている。特に中・高校生の相談が多い。(表2・3)

 

表2 相談内容(上位)の推移

表2 相談内容(上位)の推移

 

五十五年度は、窃盗・万引・シンナー吸引・不純異性交遊などがみられ、高校生のシンナー吸引の相談は、新しいケースであった。非行の相談の多くは、初期段階であったために心理療法

 

 

 


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