教育福島0062号(1981年(S56)07月)-039page
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夏休みのための子供の本
県立図書館主任司書
浦井洋子
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図書館コーナー
夏休み!!それは、子供たちにとって、わくわくするような自由な一か月間であり、冒険の季節です。
子供の本の世界でも、夏休みは、未知の世界への入口であり、人生の転換期です。
そこで、夏休みをひかえて、夏休みを扱った子供の本を紹介します。
「ぼくのともだちミーシカ」八〇〇円
(ニコライ・ノーソフ著 清水陽子訳童心社)
ソビエトの大自然の中で、ピオネールキャンプを舞台に繰り広げられるぼくと親友のミーシカのゆかいな騒動。短編集(中学生向)
「夏休み昆虫かんさつ」 八八〇円
「夏休み植物かんさつ」 八八〇円
(大後美保監修 あかね書房 科学のアルバム別巻)
夏休みは、昆虫、植物の成長や習性を観察したり、標本を作るのに最適の季節です。これらの本を参考に長い休暇の間に何かひとつテーマを決めて、自然観察をしてはいかがでしょうか。(中学年から)
「ながくてみじかい夏休み」七八〇円
(岩本敏男著 偕成社)
一学期最後の通信簿の日、ひろ子のお母さんは、勤めにいったまま、とうとう帰ってこなかった。
お父さんは、おじいちゃんの看病に行ったというけれど、なぜ誰にも連絡しないで、黙って行ってしまったのだろうと、ひろ子は不審に思う。
四年生の夏休みに、学校の宿題ばかりでなく、母親の蒸発という、人生の宿題もつきつけられた少女の物語(中学年から)
「イギーの家」 八八〇円
(ジュディ・ブルーム著 長田敏子訳 偕成社 現代のジュニア文学)
一週間! ほんとうにわずか一週間だったのだろうか。何年もたったように感じられる。
十一歳の夏休みが終わろうとしているいま、ウィニーは、親友のイギーが去ってからのさまざまな出来事を思う。
白人地域に、黒人の一家が引越して来たことから、ウィギーの周囲には、いろいろなトラブルが起こります。
一少女の目を通して、人種問題に光をあて、大人の社会のエゴイズムをするどくづいた物語です。 (高学年から)
「ドイツ兵の夏」 一、二〇〇円
(ベティ・グリーン著 内藤理恵子訳 偕成社 現代のジュニア文学)
第二次世界大戦のさ中、アメリカ南部の小さな町に、ドイツ兵の捕虜が送られて来ました。この町に住むユダヤ系の少女と、自由を求め生命をかけて収容所から脱走した捕虜との間に芽ばえた友情を、社会は許しません。
世の中の偏見と戦いながら、主人公パティーが少女時代へ別れをつげ、精神の独立をかちとるまでを感動的に描きます。(高学年から)
× × × ×
長い休暇の間に、一つのシリーズを読みあげるというのも、夏休みならではのことです。また、長編を読みこなす訓練を身につけるのも夏休みは最適です。
この愉快なシリーズを、小学校高学年から中学生へ、ぜひ、おすすめします。
「アーサー、ランサム全集」 各一、六〇〇円
全十二巻 (アーサー・ランサム著 岩田欣三、神宮輝夫訳 岩波書店)
「ツバメ号とアマゾン号」「ツバメの谷」「ヤマネコ号の冒険」「長い冬休み」「オオバンクラブの無法者」「ツバメ号の伝書バト」「海へ出るつもりじゃなかった」「ひみつの海」「六人の探偵たち」「女海賊の島」「スカラブ号の夏休み」「シロクマ号となぞの島」
ウォーカーきょうだい、ブランケット姉妹、カラムきょうだいが休暇中に繰り広げる、数々の海洋冒険物語。
七つの海を制覇したイギリスの冒険と自由の精神が、そのまま、子供たちの日常生活にひきつがれ、少年少女の冒険へ夢が、着々と実現されてゆく愉快な物語です。
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