教育福島0062号(1981年(S56)07月)-051page
県指定重要文化財(古文書)
相馬岡田文書 2巻
所在地 相馬市中村字大手先13 相馬市教育文化センター博物館
所有者 岡田幸胤
所有者住所 東京都世田谷区池尻4丁目16番2号
相馬岡田文書(二巻)は、奥州相馬氏の庶子家である相馬岡田氏に伝来した中世文書である。相馬岡田氏は、相馬胤村の二男胤顕を祖とし、陸奥国行方郡岡田村(現、小高町大字岡田)を本拠として岡田を称した。相馬岡田文書のうち、一巻は題簽はないが、「相馬岡田文書」と称し、他の一巻は、「雑文書」という題簽があり「相馬岡田雑文書」と称している。
相馬岡田文書は計七三通(七六点)の文書から構成され、年代的には鎌倉後期弘安八年(一二九五)から戦国期の天文四年(一五三五)にわたっており、南北朝期の文書が過半を占める。
その内容は、譲状、関東下知状、陸奥守北畠顕家下文および奥州管領吉良貞家の文書など、所領関係その他の重要な文書を含んでいる。特に、在家(農民屋敷および田畑)・田畑の沽却状は奥羽の武家文書のなかでも希有のものであり、中世奥羽における農民支配の態容をうかがわせる貴重な史料である。
奥州相馬惣領家に伝来した相馬文書が第二次大戦の戦火によって失われた現在、この相馬岡田文書は県指定重要文化財大悲山文書とともに、奥州相馬氏にかかわる原文書群として、永くその保存の策を講じられるべきものである。