教育福島0064号(1981年(S56)09月)-023page

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養護教育諸学校卒業生の進路状況

 

昭和53年度〜昭和55年度

 

特集

 

はじめに

 

はじめに

 

今年は、「完全参加と平等」をテーマにした国際障害者年である。目的は五つあるが、その中に、「障害者の社会への身体的及び精神的適合を援助すること」と、「障害者に対して、適切な援護、訓練、治療及び指導を行い、適当な雇用の機会を創出し、また障害者の社会における十分な統合を確保するためのすべての国内的及び国際的努力を促進すること」という表現が入っている。これを一つの契機として、今までの進路状況の実態を具体的にとらえ、その現状と問題点について、十分に把握しておくことが、今後の進路指導を考えるに当たり、大いに参考になると思い、県立と市立の盲・聾・養護学校(精神薄弱、肢体不自由、病弱)中学部と高等部(専攻科)の生徒の三年間の進路状況を表1・2のように示した。以下、その進路状況を概観してみる。

 

一 中学部卒業生

 

全体的に眺めてみると、盲・聾・養護学校高等部への進学と施設入所が多く、就職する生徒と各種学校へ進学する生徒が、年々、わずかながら、減少している。

(1) 就職

就職する生徒は、例年ほとんどが精神薄弱養護学校の生徒であるが、この三年間では、一人も就職する者がなかった。七校ある精神薄弱養護学校のうち二校の生徒は施設に入所している現状である。これは、生徒の障害の程度が重度化してきたことが、就職低下の最大の要因であると考えられる。主な仕事としては、紡績、縫製、製靴、左官、土木関係等となっている。

(2) 進 学

ア 高等部への進学

盲学校と聾学校の卒業生は、毎年ほとんど、自校の高等部に進学している。肢体不自由養護学校卒業生の高等部への進学者は、昭和五十五年度は、五十パーセントに達している。病弱養護学校の場合は、ここ二年、一名ずつが、肢体不自由養護学校高等部へ進学している。病弱養護学校にも、医療と学習とが併行できる高等部の設置が必要である。精神薄弱養護学校卒業生の進学は、市立福島養護学校の卒業生が自校の高等部へ進学する程度で、あとの学校は、わずかである。これは、県立の精神薄弱養護学校に高等部が未設置のためと考えられる。現在、文部省で、「心身障害児にかかる後期中等教育の在り方」について、「特殊教育研究調査協力者会議」を設置して検討を進めているが、本県では、その報告を待って、精神薄弱養護学校の高等部について、検討する考えである。

イ 高等学校への進学

ほとんどが、病弱養護学校の卒業生である。ここ二年、七十パーセント近くの生徒が、出身地の県立や私立の高

 

 

 


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