教育福島0064号(1981年(S56)09月)-036page
わたしの研究実践
体力つくりの指導
−持久走の指導を中心にして−
福島県立福島北高等学校教諭
伏見貞俊
一 はじめに
本校は、昭和五十二年度から、五十四年度までの三年間、文部省より体力つくり推進校に指定されたが、当時は校舎改築全面移転のため、体育施設はわずかに百メートル四方の運動場と格技場のみという貧弱さであった。このような状態のなかで、いかにして生徒の体力つくりに取り組むかについて、いろいろ考えたが、結論は、施設に頼らない体力づくりは、野外走(持久走)以外にはないということになった。
体力つくりは、押しつけるものではなく、各自がその必要性を認識し、楽しみながら意欲的に実践して行かなければならない。
しかし、持久走は、体育授業の教材のなかで、生徒が一番嫌うものでありその種目をいかにして生徒に興味を持たせながら実践していくかが問題点となった。
二 意識調査
生徒が体力つくりについてどのような意識を持っているか、また、体力つくりのためにどのようなことをしているかを調査した結果は、
(一) 自分は体力がないと思う者は、全体の約八十五パーセントで、体力がないと感じる時として
1) 体育の授業の時
2) スポーツテストの時
3) 運動の部活動をしている時
4) 通学の時
5) 長い時間勉強した時
などをあげ、
(二) 九十パーセント以上の生徒が体力つくりの必要性を認識しているもののほとんどの生徒がなにもしていないと答えている。
その理由は
1) なにをしたらよいのかわからない
2) 一人でやるのはつまらない
3) 用具や施設がない
などであった。
(三) 持久走については、嫌いと答えた者が大部分で、わずかに運動部員に好きなものがいただけであった。
嫌いな理由として
1) 疲れるから
2) 完走できるかどうか不安だから
3) 単調であきるから
4) 遅いのを他人に見られると恥ずかしいから
5) 孤独感を感じるから
などがあげられた。
以上のような意識調査の結果から実践に対する方法を検討した。
三 実践の方法
(一) コース設定の考え方
1) 単調にならないように、短いコース、長いコース、起伏のあるコースなどいろいろなコースを設定する。
2) 完走に対する不安を除くため、いつでも校舎が見えるようなコースも設定する。
3) 全生徒が授業時間内に、完走できる(三十分)距離のコースとする。
4) 自動車などの交通量を考えて、安全なコースを設定する。
本校周辺は、県樹園地帯で交通量も少なく、緩急自在の安全な持久走コースが設定できる地理的好条件を
野外走コース図