教育福島0064号(1981年(S56)09月)-037page
そなえているので、図のようなコースを設定した。
(二) 実践上の留意点
1) 授業時数
男子は四月七時間、十月五時間、三月三時間で計十五時間、女子は、四月四時間、十月三時間、三月二時間の計九時間とし、男子は、年間授業時数の約十・七パーセント、女子では十二・九パーセントを配当した。
2) 導入段階として、体力づくりの必要性、いつでも、どこでも気軽にできるものとして、持久走が適していることを認識させ、また、授業時の野外走コースの説明と集団走によるコース案内を実施し、コースの理解とペース配分を考えるようにした。
3) 五分間走と外周コース
体育授業の最終五分間は運動場、体育館での授業を問わず、五分間走を実施し、自己の体力に自信を持つようにさせ、外周コース(一キロメートル)では、ぺース配分を覚えるために、一周で終わる場合、二周、三周する場合など、その目的に応じて使用している。
4) 一斉スタートによる個人走
自己の能力に応じてコースを完走させ、毎回のタイムを測定し、その記録を整理させることによって、記録向上に対する意欲を持たせるよう留意した。完走の喜びと同時に自己の記録更新は大きな喜びとなった。
しかし、走力の劣る者は、完走の喜びの前に劣等感を持ち、走ることに興味を失い、孤独感を味わう。
持久走が嫌いになる原因がここにあると思う。このような生徒に、走る意欲を失わせないで、興味を持たせる方法として、チーム、ロードワークを実施した。
(三) チーム・ロードワークの方法
1) 一グループの人数は、六〜七名として、リーダーとサブリーダーを選出させる。
2) グループ編成に当たっては、走力の劣る者を各グループに均等に入れる。
3) リーダーとサブリーダーはチーム番号のゼッケンをつけ、チームの前と後に位置する。
4) チームの最終走者のタイムを、そのチームのタイムとする。
5) スタートはチーム別に、一分間隔でスタートする。
四 実践の結果
前述の方法を、チーム・ロードワークを実施した結果、次のような成果が認められた。
1) チームゲームの要素があるので走力の優れた者が劣る者に対して励まし、劣る者はチームに迷惑をかけまいとベストを尽くすようになった。
2) 今まで途中で歩くことのあった者が最後まで走りぬくようになった。
3) 走力の劣る者にあきらめる気分がなくなった。
4) 嫌いな理由の孤独感がなくなつた。
5) 前走チームが目標になって(追い越ぜば前走チームより一分タイムが良い)意欲的になる。
6) 完走後、チーム内の話題が多く、互いに充実感を持つようになった。
7) 声をかけ合いながら走る光景も見られ、授業が活発になった。
8) チーム別に走るので、一斉スタートの野外走よりも安全である。
五 まとめ
生徒があまり好まない種目でも、指導上の工夫によって、興味を持たせ、成果を期待することができると思う。このチーム・ロードワークは、自転車競技のチームロードレースを野外走に取り入れたものだが、個人走に比べ、持久走を嫌う理由を取り除いてやれる方法ではないかと考えられる。
しかし、走力の優れた者に対しては物足りない感じもあるので、個人走との併用も望ましい。
チーム・ロードワークのスタート
チーム・ロードワークの追いこし場面
急坂を走る個人走風景