教育福島0065号(1981年(S56)10月)-019page

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べきである。

b) 生徒用資料

生徒がもっとも、たのみとしているものは教科書である。だから現行の教科書を極力使用することに変わりはないが、どらしてもページがとびとびになる。例えば神経系と内分泌系の統合では「恒常性の内容」として、ともに合わせた説明で展開しているのに対して、新しい内容は「神経系のはたらき」・「内分泌系のはたらき」そして「統合」を考えるようになっている。このため神経系はともあれ、「内分泌系」については、どうしても資料が欲しくなる。このように必要にせまられて作ることになるし、生徒の側でも、学習の結果を整理するのにも役立つように配慮した。

同様に「地域生活と健康」に該当するところでは、いわゆる公害が出てくるが、ここでは「公害による健康被害と対策」までをまとめて資料として利用させることにした。

四 生徒の反応

保健という科目に対する生徒の態度は一般的に、大切な科目であると思っていながら、関心度が低いという傾向が大勢である。それだけに授業における工夫が求められるのだろうし、各教師はさまざまに創意工夫をこらしてやっているのである。

原則として、前記プログラムの一コマずつ授業が進むことになるので「進度が判り易いということ」「週に一度の授業なので、前の授業内容を思い出すのに便利」であるといったもので、さほど抵抗はないようである。更に資料については「自分でまとめるべきものが省略されるのでよい。その分、例題説明をよくきける」というものもある。いずれにせよ生徒には移行期であろうとなかろうと問題ではないので、保健としての知識にめざめ、関心を高め、努めて習慣化できるようにしてやるための助けとなればよいであろう。

五 今後の課題

本来、この資料は、内部の指導上利用するつもりのもであるから、外部にさらす性質のものではないと思っている。新しい教科書を入手したとしても座右の資料として、今後修正し、資料を整備してゆくべきものと思っている。とくに教師用資料の各葉は、それぞれの教師自らが肉付けし、特色を出すべきものであろうから指導案とは異なる。時々刻々変りゆく社会での、保健の諸問題に対応してゆかなければならないのだから未完成のものである。

六 おわりに

いま、科目「保健」指導に当たっての問題点は数多くある。例えば、関心の低さ、教科書の読みでの読解力の不足・などが代表的なものであろう。

なにかよい、効果的な方法でもあればと、ずい分いろいろなことをやってはみたが、結局は、対象となる生徒の能力に応じた指導内容を模索してそれなりの指導案をつくるより手はないと思うのである。

目の先にきている、新しい指導要領をどのように消化して、指導資料をつくるか、各出版社からの指導資料の洪水に押し流されないよう留意したい。

保健指導の諸問題は、前にも述べたように数多くあることは事実である。しかし、それは他教科でも大同小異で

 

参考資料

 

健康と環境

健康と自然環境の保全……環境の保全対策について考えてみよう。

前時には、人間と環境との関係について学んだが、本時では、環境に対して広い視野に立ち、日本の置かれている立場を考え、世界の環境保全にどのように協力していくか、諸外国との関連を考慮して、環境保全のしくみや、国際協力の必要性を考えながら学習するのである。ここで重点となるところは次の諸点である。

自然環境保全法、自然度調査、環境寄与度調査、人間環境宣言、WHO、UNE S CO、

F・A・0

1. 環境の保全とは

大規模な開発は、自然環境との調和を十分に考慮しながら、綿密な計画のもとに実施されなければならない、一度破壊された自然をもとにもどすのには百年の歳月を要しよう。無秩序に開発された自然環境は簡単にはもとに戻らない。このため国では、自然環境保全法(1972年)を立法し、環境保全対策を行っている。

2. 自然環境保全調査

緑の国勢調査ともいわれている。これには、自然度調査、自然調査、環境寄与度調査がある。

3. 自然度調査

緑の分布を調べるもの、東京・大阪での緑は10%しかなく、90%は市街地であること。人工的な手の入らないところは、全国の23%に満たない結果がでている。いわば都市は砂模化しているということになる。前時に学んだ、自然環境の調和からみて、人間の住む環境としてはどうなのであろうか考えねばなるまい。

4. 自然調査

野性動物・植物・地形・海中・史的自然環境などの五項目について全国を対象に希少性・特異性などの観点から、すぐれた自然がどこに、どのような状態で残されているかを調べるもので、この結果、保護地域の指定を行っている。

5. 環境寄与度調査      (以下略)

 

 

 


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