教育福島0065号(1981年(S56)10月)-018page
なった。
6)簿記検定試験を以前より多く受験するようになった(資料5参照)。
資料5の結果からみても、普通科のカリキュラムの中で、簿記検定二、三級の合格者を出すことは困難なことであるが、生徒が簿記会計に興味をもち始め、簿記検定受験者、合格者とも年ごとに多くなってきている。
六 反 省
この習熟度別学習は、まだ始めて年数も浅いわけであるが、毎日の学習に前述したような効果を見ている。
しかし、三年生がA組へ移動する際の劣等意識等の問題があり、我々教師は生徒がそのような意識を持たないように細心の配慮をしていかなげればならないと考える。
本校の習熟度別クラス編成は、現在のところ大まかな方法であるが、この学習を継続していく過程で能力差の拡大が更に進んでくれば、この習熟度別を更に細分化する必要に迫られることは必至であると思われる。このことは、今後の重要課題でもあり今後も研究を重ね指導をしていくつもりである。
七 おわりに
本校には農業科、林業科、家政科、普通科と四学科あり、カリキュラムを作成するにあたっては非常に複雑で、長い時間と労力とを要する。その中で普通科の二年、三年の男子に同時展開の授業をするには、先生方の理解と協力があればこそ習熟度別学習を実施できるものと考える。
学習意欲を高める習熟度別学習を、さらに充実させるために、今後とも種々の角度から研究を重ね、本校の生徒の実態にあった指導方法を積極的に取り入れ、多様化する生徒に対応していきたい。
保健体育
一 はじめに
昭和五十三年八月に、高等学校新学習指導要領が告示されて以来、数々の伝達講習を受けながら、もう三年になろうとしている。
かねてから、この改訂の「ねらい」をふまえ科目「保健」の移行措置として、その進め方を具体化しなければならないと思いながらもなかなか余裕がなかった。しかしあけて昭和五十四年十月、移行措置についての特例が定められた。
かねがね、現行の保健の教科書はとても二か年間では終わらない。懸命にやっても最後が消化しきれない。途中ではしょらないと終わらないので後味の悪い思いをする。等いろいろのことがあったことは事実だった。
そこで新しい要領では、内容の精選・指導者の自主的判断・創意工夫が要求されていることもあって、本校としての指針ともなるべきものをつくってみようということになった。遅かれ、早かれ内容が変わるのなら昭和五十七年まで待たずに移行した方が得策であろうと考えたが、果たして昭和五十五年度の第一学年から間に合うかどうか不安があった。したがって昭和五十四年後半から構想をすすめるため積極的に始めたが、なにしろ一片の単元組替表だけではどうにも手が出なかった。教科書をつくり出すようなものであった。
ニ プログラムの設定
本校では、一学年十級にそれぞれ三名が「保健」を担当している。各担当者の特色ある指導内容をそこなわずに、しかも共通して指導しなければならない内容をおさえるためには、どこまでの指導資料とするかが問題であった。年間実施時数は、過去の進度表からみてせいぜい三十時間である。そこで一時間ごとのテーマを設定し「移行期の組替指導内容」 (別表1)のようにプログラムを作成した。このプログラムは、大項目の四単元を基本とし、いわば中項目を取り上げたものである。そして指導すべき内容の小項目を併列付記し、最低限の内容をおさえた。さらに生徒は旧教科書を使用して新指導要領内容の授業を受けるので、戸惑いを避けるよう現教科書のページ数も付記した。そして生徒には、このプログラムを配布して進度表とした。このようにして昭和五十五年度四月の第一学年より実施に踏みきったのである。
三 資料の作成
このような進度表により始めた移行措置の計画であるが、よりょく理解させるためにはどうしても資料が必要となった。そこで教師用資料と、生徒用資料の二通りをつくることにした。
a) 教師用資料
教師用資料は、プログラム番号による一コマずつの指導用資料を作成し、各教師が利用することにした。いうなれば授業展開の筋書きである。担当教師による授業の展開は、教師自身の指導法で実施すべきであるからこの資料はあくまで共同歩調で進度を調整しようというものである。
「保健」の授業は、健康と安全に関する実生活を基本にしている科目であるから、生活との関連性を持ち、豊富な例題で、本時には何を指導すべきかをつかんでおくことが重要である。さらにこの資料をつくるに際しては、かなり新しい内容があるし、削除された項目、移行した項目があるので説明のつながりを意識しなければならないし新しく出てくる内容には資料が乏しくかなり教材研究が容易ではないので、その筋書は、比較的詳細に記述した。(参考資料)
また、他教科との関連も多いので、特に関係がある「現代社会」「政経」「理科1)」を始め「生物」 「家庭」の各教科で、関係ある内容は、その学校で使用している教科書を一読しておく