教育福島0067号(1981年(S56)12月)-040page

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知っておきたい教育法令

 

病気休暇

 

一 病気休暇の意義

最近、教職員の中にも成人病などの理由で、休暇をとる者がふえてきている。成人病に限らず、教職員が健康を害し、病気の治療を必要とする場合には、病気休暇をとることができるとされている。(職員の休日及び有給休暇に関する条例(以下「条例」という。)第三条第一項。職員の有給休暇に関する規則(以下「規則」という。)第二条)

病気休暇(以下「病休」という。)は、疾病傷害のための休暇という有給休暇の一種であり(規則第二条第一号)、任命権者が教職員の傷病に対して療養の必要を認めた場合に、成人病や精神科疾患の者については百八十日、その他の疾病については、九十日の範囲内で治療に必要な日数を与える休暇である。(規則第二条第一号)九十日の日数は同一疾病に対して与えられるものであるから病休中にその病気と因果関係のない疾病の発生をみた場合には、その疾病について新たに九十日の範囲内で休暇が与えられることになる。

なお、結核性の疾患により長期の療養を要すると任命権者が認めた者に対しては、二年以内の範囲で与える「療養休暇」の制度が、別に設けてある。(条例第三条第一項第三号)

二 病休の取扱い

病休は傷病の原因が公務、私事のいずれであっても同じ取扱いである。病休をとる場合は、あらかじめ、校長は教育長の、職員は校長の承認を得なければならない。(福島県立学校の管理運営に関する規則第二十三条。市町村公立学校管理規則)病休の期間が七日以上にわたる場合は休暇願に添えて医師の証明書を提出しなければならないが、休暇が六日以内であっても認定上必要とする場合には証明書の提出を求めることもあり得る。急を要する場合など、あらかじめ承認を受けることができない時には事後すみやかに承認を求めなければならない。

病休と年次休暇(以下「年休」という。)とのかかわり合いについては、疾病治療のために年休を当てることはあり得るが、病休の期間から引続き休職に入る場合年休の性格上、病休と休職の間に年休を差し挾むことはできないとされている。(昭和四十八年十月二十二日付県教育長通達)

また、病休者が傷病の治癒回復をみた際は、校長は教育長に、職員は校長に対してすみやかに「事故止届」を提出しなければならない。

なお、病休の制度は非常勤の教職員には適用されないものである。(条例第三条第二項)

三 成人病と精神科疾患

成人病の種類については(一)循環器系疾患(二)動脈硬化症日新生物(ガンなどの悪性腫瘍)に大別され、原則として、四十歳以上の者が対象となる。その疾病が成人病に当たるかどうか判断しがたい場合も含め、所定の様式によって、県教育委員会に協議しなければならない。(県立学校事務の手引、「市町村教育行政実務提要」を参照のこと。)

精神科疾患に該当する場合は、疾患のすべてが対象になり、該当するか否か判断しがたい場合を除いて、県教育委員会との協議は不要である。(成人病及び精神科疾患に関する病気休暇取扱要項昭和四十四年九月九日付)

成人病及び精神科疾患に関する病休は百八十日の範囲内で与えられるものであるが、これは仮に成人病による病休者が精神科疾患の合併症に陥った場合でも、成人病又は精神科疾患の病休は本来が九十日の範囲で与える休暇を百八十日の範囲にまで延長したに過ぎないものであるから、病休開始の時点から起算して百八十日までしか認められない。ただし、成人病又は精神科疾患以外の疾病傷害にかかった場合はそれが前者(成人病、精神科疾患)との因果関係がないと認められれば、後者の病気の時点から起算して九十日以内の休暇が与えられる。

精神科疾患の場合、病休者が復職を希望する際は休暇期間終了一か月前に「福島県公立学校教職員神経・精神障害審査会」の審査を受けるよう手続きをとらなければならない。

疾病傷害の治療を目的とするこのような休暇制度があるとはいえ、教職員は一人一人が日ごろから自己の健康に注意し病気にならないよう努めることがまず何よりも大事なことであろう。

 

 

 


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