教育福島0068号(1982年(S57)01月)-041page

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ふるさと探訪県指定重要無形民俗文化財

湖南の会津万歳

万歳は戦前まではまだ諸国に多く行われていたが、戦後はにわかに少なくなった。会津地方にも多くの万歳の組があったが、今は二、三組を残すにとどまる。

郡山市湖南町のは、その最後まで残った組の一つであり、まだ伝承がしっかりしている。所伝の曲も多い。太夫と才蔵との二人連れのことが多く、才蔵は鼓をとる。年始万歳、養蚕万歳(養蚕の家で)、屋立万歳(新築の家で)、頼朝万歳(男子が丈夫に育ち出世するようにと)、経文万歳(佛の年忌などに)を五万歳とする。門ごとに演ずるときは、松の内なら年始万歳、その後は七福万歳を演ずる。座敷に招ぜられて、神棚あるいは床の間の前などに坐って演ずるときは、上記五万歳の外にも、年神様(厄年の人のために)、山神様(炭焼の家などで、怪我のないようにと)、淡島様(体の弱い中年以上の女人のために)、船玉様(船頭のいる家で)、聖徳太子(大工、左官等の職人たちの守り神として)、その他、婚礼万歳、八幡様、事代主命、稲荷様、厩万歳、若三神などがある。

万歳は語りものであるが、その後に滑稽じみた踊をつけることがある。太夫、才蔵の二人が鼓を打ち歌をうたいながら踊るお金踊り、お酒踊り、お肴踊り、姉ご衆踊り等。また、小栗判官、安珍清姫、安倍保名、阿波鳴戸石童丸、八百屋お七など、段ものも色々あり、要求に応じて演ずる。それは万歳の節で語る。

十二月末に出かけ、正月一ぱいまわる。旧正月にも出る。今の太夫は三〇年以上も出ている。万歳が済むと、「天地御保祭○○太夫」と誌したお札を置いて行祝福芸の代表として、また伝承の豊かな点に於て、価値が高い。

所在地 郡山市湖南町中野

保護団体 会津万歳安佐野保存会

あとがき

あとがき

○あけましておめでとうございます。本年も健やかで実りのある一年になりますようお祈り申し上げます。

○グラビア題字「無冥々之………」は、筍子の勧学篇から、横山十郎先生に揮毫をお願いした。「無信々之事者、無赫々之功」に続く前半の部分だが、黙々として専一熱心に努力することの大切さを述べたものである。三日坊主の編集子にとっては頭が痛いことばだが、諸兄姉はいかがであろうか。

〇一月。Januaryは、ローマ神話のジャーナスからとったもの。ジャーナスは、あらゆる事物を開くことも閉じることもできる神で、二つの顔をもっている。それは、過去と未来を見とおす英知であるという。

○われわれも、現在という大地にしっかりと足をすえ、未来にむけて歩き続けたいものである。

(ひ)


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