教育福島0068号(1982年(S57)01月)-040page

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知っておきたい教育法令

 

出産にかかわる休暇・休業

 

一 出産のための休暇

妊娠中の女子については胎児及び母体の安全を確保するため、労働基準法上一定日数の休暇が保障されている。これが出産のための休暇である。

労働基準法第六十五条第一項は「使用者は、六週間以内に出産する予定の女子が、休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。」とし、同条第二項は「使用者は、産後六週間を経過しない女子を就業させてはならない。」として産前産後六週間の休暇を定めている。教職員の出産のための休暇については、都道府県の条例で定めることとされている。(地方公務員法第二十四条第六項及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四十二条)これを受けて本県では、職員の休日及び有給休暇に関する条例(以下「条例」という。)第三条第一項第四号において人事委員会規則で定めるものとされ、職員の有給休暇に関する規則(以下「規則」という。)第二条第二号で出産のための休暇は、「その出産の予定日前八週間(多胎妊娠の場合にあっては十週間)及び出産後八週間以内の期間」として労働基準法の規定を上まわる期間を認めている。

産前、産後の休暇期間の算出にあたっては、自然の分娩予定日を基準として産前の休暇期間を計算し、産後の場合は出産日を基準として行うことになっている。なお、出産当日は産前に含むもとし、暦日に従って休暇期間を計算することになるので、勤務を要しない日、祝日等も含まれることになっている。出産の範囲は、妊娠四か月以上(一か月は二十八日として計算する。したがって四か月以上とは、八十五日以上のことである。)の分娩であって、死産も含むものとしている。 (昭23・12・28労働省労働基準局長回答)したがって妊娠四か月以後の早産はもちろん、流産、妊娠中絶の場合でも出産のための休暇を請求することができる。しかし、この場合には産前の休暇の問題が発生する余地はない。

産前産後の休暇期間中の給与については、労働基準法上は有給とも無給とも規定していないが、条例、規則により有給の特別休暇と定められ、給与の全額が支払われていることは周知のとおりである。なお、出産のための休暇を受けようとする場合には、医師又は助産婦の証明書を添付して申請することになっている。(規則第四条)

 

二 育児休業

女子教育職員等の継続的な勤務を促進し、学校教育の円滑な実施を確保することを目的として義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休業に関する法律(以下「法」という。)が昭和五十一年四月一日から実施されてきた。この制度は、産後休暇が終わった女子教育職員の申請により、その子が満一歳に達する日までの期間を限度として、養育のための休業を任命権者が許可するものである。(法第三条第一項及び第四条第一項)この場合、任命権者は、代替え職員の臨時的任用が著しく困難な事情がある場合を除いて、休業の許可をしなければならないとされている。(法第三条第二項)

この法律が対象とする「子」の範囲は、実子及び法定親族関係にある養子に限るものであり、「養育」とは、母親が子に対して通常行う程度の世話を専念して行うことをいい、自分の手元において育てているのが常態であることを要する。また、「満一歳に達する日」とは、満一歳の誕生日の前日をいうものである。なお、この制度にかかる詳細については「教育福島」(昭和五十一年六月号)及び「教職員の服務及び勤務」を参照されたい。

文部省の調査によれば、育児休業制度が実施された当初は休業率も低く、昭和五十一年度に出生した子を有する者の中で育児休業の許可を受けた者の割合は二四・○%であったが、実施二年めの昭和五十二年度には四七・○%昭和五十三度には五四・四%、昭和五十四年度では五八・四%と伸び、育児休業率は年々高まっている。

昭和五十四年度における休業期間をみると、八月を超える期間を許可された者が全体の三八%を占めて最も多く、次いで四月以内が三三%となっている。また、育児休業の許可受けた者のうち、九七%の者が産後休暇に引き続いて育児休業に入っている。

 

 

 


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