教育福島0071号(1982年(S57)06月)-035page
診断・把握し、学習指導の改善に真に役立つ検査問題とすることを目指している。
昭和五十六年度は、小学校(一〜三学年)の国語・算数の学力検査問題の修正と本テストを実施し、更に、小学校(一〜三学年)の社会・理科の学力検査問題の作成と予備テストを実施した。
昭和五十七年度は、小学校(一〜三学年)の国語・算数の県内小学校児童の学力の実態を分析するとともに、小学校(一〜三学年)の社会・理科の学力検査問題の修正と本テストを実施する。
(四)教育相談に関する研究
昭和五十六年度までの研究成果を、研究紀要第四十九号「登校拒否タイプ別治療方法の研究」としてまとめたが本年度から二か年継続研究として「学習意欲を高める心理的治療に関する研究(小・中学校)」に取り組む。
教育の諸条件が年々整いつつある反面、実際の授業では、いわゆる「やる気のない子」が増加しつつあることも事実であり、この学業不振対策は、今日の教育上の重要な課題である。
本研究は、学習における「やる気」に心理的側面からのアプローチを試みようとするものであり、昭和五十七年度は、文献による理論的研究と、実態調査の分析を行い、報告書を刊行する
なお、第二年次の昭和五十八年度は学習意欲の乏しい児童、生徒の原因追求と、その除去のための心理的治療について実践的研究を行い、その結果を教育センター紀要にまとめる計画である。
(五)小学校低学年理科及び高等学校理科2)に関する研究
低学年児童の特性と直接経験による学習を重視し、合科的要素をもつ低学年理科指導の方法について実践的な研究をする。本年度よりの二か年にわたる継続研究とし、五十八年度に「低学年理科指導資料」を刊行する予定である。
高等学校の新教育課程に新設された「理科1)、2)」について、五十六年度は「理科1)指導の手びき」を刊行した本年度より二か年にわたり「理科2)」についての指導計画・指導法について研究する。五十八年度に「理科2)指導資料」を刊行する予定である。
(六)教育課程の実施に関する研究
新教育課程の実施に伴い、各領域・分野等における指導法の開発を中軸として、教育課程実施上、留意・工夫すべき事項等について研究する。
・教科指導に関する研究
英語科(中学校・高等学校)
音楽科(中学校・中学校・高等学校
家庭科(小学校)
情報処理教育(高等学校)
・生徒指導に関する研究(小学校・中学校・高等学校)
研究成果は紀要として刊行する。
二 研修事業について
教育センターが行う研究講座は、第二次福島県長期総合教育計画(昭和五十三年三月)下の「教職員現職教育計画」の一環をなすものである。この計画は、県教育庁関係各機関が実施している研修について、その体系化と効果的推進を図るために策定されたものであり、そのなかで当教育センターが担当するのは、学校経営・教科指導・道徳・特別活動・生徒指導、教育相談に関する研修である。これらはすべて、専門研修として位置つけられており、基本研修を基盤として、職責遂行上必要な専門的知識・技能等を重点的に習得し、基本研修の成果を発展・深化することを目的とした研修としている。
また、研修講座はすべて、一次・二次・共通の研修区分に分かれている。一次は教職経験年数十年未満の者(当分の間は二十年未満も含む)を対象に基礎的内容を中心に研修し、二次は教職経験十年以上で、発展的内容中心の研修、共通は教職経験年数に制限をもたず、研修内容に幅をもつ講座としている。各講座は、講義・協議・演習・実習・実験等種々の方法が工夫され、講師及び助言者も県の内外にわたって幅広く人選し、講座の内容にふさわしい研究や実績のある大学教授、助教授、学識経験者・教育庁職員及び現場の教師など多彩な指導陣により、講座内容の充実を図っている。
(一)研修計画
・研修区分別講座数 ・研修定員
幼稚園 一 幼稚園 三〇
小学校 二八 小学校 八四六
中学校 二七 中学校 六一七
高等学校 二九 高等学校 五〇四
計 八五 養護教育諸学校 二二
・研修講座開催期間 計 二〇一九
開始日 六月二日
終了日 二月四日
開催日数 一一七日
(二)研修内容
小・中高にわたって、新教育課程が実施される本年度の研修事業は、新学習指導要領のねらい、内容に沿うよう一層の改善を図るとともに、現場の抱える課題、要望を踏まえ、研修者の日常の実践との結びつきを深めた研修となるよう、全講座について、研修内容研修方法の見直しを行っている。
幼児教育に対する期待と関心の高まりにこたえるための幼稚園教育講座の新設、道徳的実践力の育成をめざす道徳の時間の充実に対応する道徳教育講座の増設、最新のコンピューター導入による情報処理教育講座の内容充実等は本年度研修事業の大きな特色である。なお、詳細は各校配布の福島県教育センター研修事業計画を参照願いたい。