教育福島0071号(1982年(S57)06月)-044page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

こぼればなし

 

テレビドラマ「マリコ」(NHK・十一月)、及び「海峡に女の唄がきこえる」(読売テレビ十月)などの脚本は、社会的視野の広さを示しながらテレビのもつ芸術性に新生面を拓き、ドラマ・ドキュメンタリー両分野にわたる幅広い作家活動のひとつの精華として高く評価される。−−これは、岩間芳樹氏の第三十二回芸術選奨文部大臣賞授賞理由である。

岩間先生はいう。「昭和二十七年、福島県文学賞をいただいたときの賞金が三万円で、今度の芸術選奨では三十万円、三十年で十倍になったわけです。天気予報とニュース以外はなんでも書いてきましたが、放送もやっと認められてきたなあと実感しています。賞をいただいてもこれで終わりではありません。……」。東京・新宿京王プラザホテルで開かれた「岩間芳樹氏の芸術選奨受賞を祝う会」(五月七日)の席上あいさつに立った岩間先生のことばである。

岩間先生といえば、昨年、本誌に巻頭言「劇的なもの」の執筆をいただき、その折りに先生の「ひとがら」については、このこぼればなし欄で紹介させていただいたので重複をさけ、今回の先生の快挙に喝采と今後の発展を心から祈りたいと思う。−−本誌の巻頭言執筆者が名誉ある賞を受賞したことは、「ひとごと」とは思えず、編集子としても鼻高々といったら手前みそということになるだろうか。

ところで、岩間先生から、映人社発行の雑誌「ドラマ」六月号をお送りいただいた。芸術選奨受賞記念岩間芳樹シナリオ特集で、先生の作品から人間性にいたるまで、多くの紹介がなされている。先生は謙虚な方で自己のことをあまり話題にされないが、福島県文学賞受賞後、上京されてからこの三十年の間に、実に多くの賞を受賞している。上京した年に、「欅の木の下で」が全国青年演劇大会文部大臣賞を受賞したのをはじめとして、民間放送連盟賞三回、放送文化基金賞本賞、ギャラクシー賞、芸術祭奨励賞二回、同優秀賞四回、同最優秀賞一回、同大賞三回など、それぞれの時代背景の中で、時代と人間とのかかわりあいが、なまなましく表現された作品に対しての評価がなされたのであろう。だが、編集子のすきな「空白の九〇〇分」が受賞の対象にならないのはどうしたわけかと思う。

ふたたびところで、「ドラマ」六月号の表紙は、「三年B組貫八先生」(TBS系放映中)のスチール写真で、神崎貫八に扮する川谷拓三の大写しの顔である。この川谷拓三の人の好い顔と岩間先生の「こころ」−−いわせてもらえるのなら、多分にこのこころが二重に焼きつくのはどうしてだろう。

この秋、先生の脚本による芸術祭参加のラジオドラマが柴田忠夫氏演出(FM東京)で企画されているという。沖縄を舞台にした兵隊と少女の話だそうだが、またひとつ、先生と時代とのかかわりあいに出会うことができると、今から楽しみである。

 

あとがき

 

あとがき

 

○ 花の雨の季節から卯の花腐しへ。そしていま六月。四月に入学した児童生徒も、それぞれの環境の中で、生き生きとして学校生活を送っている時期である。

 

〇 六月はまた、四季の草花の手入れどき。春咲球根を掘り上げて、秋花の播種に心がなごむ。冬花壇の葉ぼたんも、今から手をかけていないと、色ずきの美しい花を咲かせてくれない。追肥や水の管理などめんどうなことも多いが、あせらずにじっくりと心をこめてやることが大切だ。成長のためには、どんな世界でも、この「心をこめて」ことにあたることが大事なことなのだなぁ、とつくづく思う。

 

○ つれづれの心の糧に明日をみる

(ひ)

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。