教育福島0071号(1982年(S57)06月)-046page

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県指定重要文化財(建造物)

 

旧奈良輪家住宅 1棟

 

ふるさと探訪

 

もと福島市街の南郊、大字山田字城裏口(合併前は信夫郡信夫村)のなだらかな小丘の中腹に建っていたもので、所有者であった奈良輪家が昭和四十六年まで居住し、農業を営んでいた住居である。奈良輪家は明治半ば頃の購入入居であり、前住者については野地家と口伝するだけで、建立資料などは伝わらず、また解体にあたっても年代を示す墨書などは発見されていない。しかし、調査(昭和四十四年)当時の地域の口伝およびこの地方民家との比較編年によると、十八世紀半ばごろの建立として位置づけられよう。

復原結果で十一間に四間という十八世紀農民住居としては、大きい規模でありながら、土壁で三方が閉鎖され、土間が広く、また前後通りに上家柱を計十五本も表わすなど古式の要素を保っている。また同じ地方にある普通の農民層の住居と比較して、奥の「ざしき」の列が余分であるほか、土間も桁行一間ほど広い。これらの現象から村役人層の住居であったとの推測も成り立つ。国見町の旧佐藤家住宅同様、ここでも「おかみ」(居間)が当初から板敷であること、および「ざしき」が小さい物入れを伴うだけで一室であることなど、県北地方の十八世紀農民住居の姿をよく示している遺構である。

なお、昭和五十五年の現在地への再組立に際しては、のちの改造部分を排除して、ほぼ完全な復原がおこなわれている。

 

所在地 福島市上名倉字大石前地内福島市立民家園内

所在地 福島市上名倉字大石前地内福島市立民家園内

所有者 福島市

所有者の住所 福島市五老内町3番1号

(木造・平屋建、寄棟造、かや葺き、桁行11.0間(21.40メートル)・梁行4.0間(7.75メートル) 面積42.2坪(165.59平方メートル))

 

 

 


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