教育福島0075号(1982年(S57)10月)-051page
知っておきたい教育法令
高等学校生徒指導要録(高等学校教育課主任管理主事・鈴木悦郎 主任指導主事・相楽 達)
一 指導要録改訂の趣旨と概要
高等学校学習指導要領の改訂に伴い生徒指導要録が、十年ぶりに改訂された。
その趣旨は、次の通りである。
(一) 高等学校の新しい教育課程の実施に即応させること。
(二)現行指導要録実施の経験から、実情に即するように改めること。
(三) 小・中・高校の指導要録の一貫性を図ること。
次に、改訂の概要についてみると、
(一) 表・裏二ページの様式を三ページだてに改める。
(二) 各教科・科目の評定は、新しい学習指導要領の趣旨をふまえて記入する。
(三) 「各教科以外の教育活動の記録」の欄は、その名称を「特別教育活動の記録」と改め、その重要性から考えて、 一層適切な所見記入が行われるようにする。
(四) 「行動及び性格の記録」欄では、生徒の特徴を明確に記録するため、十印、一印によって評定の記入を行う。
(五) 学校における指導の充実に資するため、新たに「特記事項」の欄を設ける。
等をあげることができる。
この生徒指導要録は、本年度入学生から適用されるので、その記入や取り扱いについては、あらかじめ十分に理解しておく必要がある。
二 指導要録記入上の注意
三ぺージにわたる各項目の記入上の注意については文部省からの通知(昭和五十六年十二月二十四日付文初高第三〇三号)に示されたところに従わなければならない。
ここでは、この通知では、触れていない記入上の一般的な注意事項をあげる。
(一) 毛筆や鉛筆は使用せず、ペンで記入する。
(二) インクは黒色又は青色とする。ボールペンは使用しない。
(三) 文字は、原則として常用漢字を使用し、ていねいに楷書で記入する。
(四) 文章は現代かなづかいにより、口語文とする。
(五) 記入事項に変更があった場合にはそのつど記入する。この場合、旧記入事項に二本横線を引いて、新事実をその下部に記入し、新旧事項がともに読めるようにしておく。記入者の印は必要ないが、新事項を記入した年月日は付記するのがよい。
(六) 記入をまちがえて、それを訂正した場合には、訂正印を押した方がよい。訂正印はできるだけ小さな認印かよい。
(七) 欄内に記入しきれなくて、付筆を用いる場合には、割印など押して記入責任者を明らかにする。
(八) ゴム印の使用は、内容が共通で不変の項目に限定し、保存期間(二十年)中消滅しないインクを用いる。
三 指導要録取り扱い上の注意
指導要録は、生徒指導のための資料と外部に対する証明書のための原簿という性格を兼ね備えている。
指導のための資料としては、家庭への通信(家庭連絡簿、通信簿等)に深い関係をもち、外部に対する証明用としては、進学の際の調査書や就職の際の成績証明等に利用される。
指導要録は、外部に対する証明の原簿となるべきものであるが、本来、生徒の関係する学校以外には部外秘の性格をもっている。したがって、証明書等を作成する場合、指導要録に記載されているすべての事項にわたる写しを渡すことは多くの場合不必要であり、また、使途によっては、外部から指導要録の内容について証明の請求があっても、必ずしも応ずる必要はない。
このように、指導要録は、生徒に対する教育的な配慮などを勘案して慎重に取り扱う必要があり、当該生徒の卒業又は転学後二十年間は保存しなければならないので、その整理保管には細心の注意を払うべきである。
指導要録の法令関係については本誌昭和五十四年十月号で取り上げています。また、本年十一月「生徒指導要録記入の手びき」(指導資料第十六集)を刊行するので、参照してください。