教育福島0075号(1982年(S57)10月)-050page

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子どもの「シリーズ本」−絵本

 

県立図書館主任司書

浦井洋子

 

図書館コーナー

図書館コーナー

 

現在ほど子どもの本が多く出版されまたこのように子どもの本について関心をもたれていることはない。それにもかかわらず、県内の読書施設を訪ねると、以然として名作物のダイジェストがずらりと並んで居り、その外は課題図書と学習マンガというところが多い。今の大人がかって子どもだったときと違い、現在は内外のすぐれた創作物が沢山出版されているのだから、子どもの本を選ぶときには、もう少し視野を広げて選書に当たってほしいと思う。それで、今回を第一回として、おすすめ出来る子どもの本のシリーズを紹介していきたい。

 

子どもがはじめてであう絵本(一〜四集 十六冊 ディック・ブルーナ作福音館書店 各三五〇円)

 

日本で出版された最初の赤ちゃんのための絵本。二〜三歳から喜んでみる絵本ですが、小学一〜二年生にも人気のある絵本です。

 

いやだいやだの絵本・あーんあんの絵本(各四冊 せなけいこ作 福音館書店 各三五〇円)

 

いかにも母親が作った絵本らしく、子どもの身近なテーマを、扱っています。魅力のあるはり絵とユーモラスなストーリーは、子どもに共感をもって迎えられています。

 

松谷みよ子あかちゃんの本(全九冊松谷みよ子作 童心社 各四八○円)

 

「いないいないばあ」「いいおかお」など、日本の伝統的なあそびをテーマにした日本製の最初の赤ちゃん絵本。大人がみても、つい顔がほころんでくるような楽しい絵本。

 

こぐまちやんえほん(一〜四集・別冊 全十五冊 わかやまけん作 こぐま社 各五〇〇円)

 

明るい色彩と単純な構図で、子どもたちの日常生活のエピソードを描いています。幼児絵本としては欠かせないシリーズですが、残念なことはすぐ破れてしまうことです。

絵本の貸出しは回転も早いし、傷みやすいので、しっかりした造本にしてほしいものです。

 

こどものとも傑作集(全五〇冊 福音館書店 各四八○円)

 

「月刊こどものとも」の中からよりすぐれたものをハード版にしたシリーズです。安くてしかも質の高い絵本のシリーズです。

 

新訳えほんシリーズ(全三三冊借成社 七八○〜八八○円)

 

子どもの心理をみごとに描き出すキーツ、動物の姿態を詩情豊かに表現するグラビアンスキー、絵で語る≠アとのうまいハッチンス、世界中の子どもにしたしまれている作品が揃っています。

 

はじめてであう科学絵本(一〜二集二〇冊 福音館書店 一一、〇〇〇円)

 

人間の身体の機能・動植物の生態など私たちの身近な問題をわかりやすくしかも子どもに興味が湧くように物語風に解説しています。子どもたちの旺盛な好奇心を満足させ、科学的に物事を考えるための最初の本としてすばらしいシリーズです。

 

日本傑作絵本シリーズ(既刊二五冊福音館書店 五〇〇〜九八○円)

 

私たちの祖先が語りついで来た昔話現代の子どもたちの生活を明るく描いた絵本、日本の代表的な絵本作家たちが子どもたちに贈る文字通りの傑作絵本ばかりです。

 

世界傑作絵本シリーズ(既刊七〇冊福音館書店 四五〇〜一、〇〇〇円)

 

名作絵本の宝庫といっても良いシリーズです。子どもたちが無理なく絵本の世界に入りこみ、そして泣き、笑い充実した気持にさせてくれる絵本ばかりです。二、三歳〜四、五歳から対象にしておりますが、中には中学生のためのリストに入れたい絵本もあり、幅広い年齢層にわたってファンがおります。

 

 

 


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