教育福島0076号(1982年(S57)11月)-040page

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砲丸投・大会新 石井君

八百メートル 坂井君

が優勝

全国聾学校陸上競技大会

 

第十九回全国聾学校陸上競技大会は十月十六日(土)十七日(日)の二日間の日程で、郡山市開成山陸上競技場で開催されました。「全国聾学校の体育を振興し、生徒の体位の向上と、スポーツ精神のかん養を図り、聴覚障害を克服する強い意志と明朗で積極的な人生観を養い、あわせて各校の交流を深める」ことを目的としたこの大会に全国から三十六校、三百九名の選手が参加し、互いに日頃の練習の成果を競いあいました。また、本県からは、男子十三名、女子十名の選手が参加、石井金男君が砲丸投で十三メートル六十九の大会新で優勝、坂井正広君も八百メートルに出場、二分六秒七〇の記録をマークして優勝するなど、本県勢の活躍は目をみはるものがありました。

競技にさきだって行われた開会式では、郡山北工業高等学校生徒によるプラスバンド演奏、プラカードを掲げて先導の役割りを果たした郡山女子大学附属高等学校生徒など百名をこす高校生が大会補助員として参加するなど、全国の聾学校との温かい交流風景がいたるところで見られ、関係者に感銘を与えました。

本県勢の成績は、次のとおりです。

〈団体〉

男子三位・女子九位

〈個人〉

●男子

百ーメトル 山口和雄 五位

二百メートル 山口和雄 七位

四百メートル 坂井正広 四位

八百メートル 坂井正広 一位

四百メートルリレー 三位

砲丸投(大会新) 石井金男 一位

同 石沢利幸 四位

●女子

四百メートルリレー 六位

走高跳 和田明美 八位

砲丸投 酒井律 六位

(解説)

福島県の聾学校が、このように好成績をあげることができた背景には、交流教育によって、聾学校の生徒がもち得た自信であった。

昭和五十四年度からはじまった、文部省の心身障害児理解推進研究校指定や、県の養護教育交流推進事業などによって、養護教育諸学校が、積極的に小・中・高等学校との交流を推進する機運が盛り上がり、種々な交流が計画され、実施されてきた。

本県の聾学校も、国や県の指定の外に種々な交流を行っていたが、体育面では、中体連や高体連の温かい協力を得て、各種大会に出場して、予期以上の成績をあげてきた。このことが、生徒の大きな自信となり、この大会で十分に力を発揮する原動力となっていたであろう。選手団の中核となった三年生が中学部の時、郡山市内の中体連でバドミンドン部優勝の経験をもつことが、これを雄弁に物語っている。

また、この大会の補助員として活躍した高校生諸君も中学生時代から、さまざまな機会に、障害をもつ生徒との交流の経験をもち、理解をもっていたこと、交流の経験をもたなくても、国際障害者年のキャンペーン等を通して障害者に対する関心をもっていたことが、障害の壁をのりこえて、大会を盛り上げ、成功に導くことに大きく貢献したのである。

昨年は国際障害者年で、障害をもつ人々に対する正しい理解を深めるために、種々な行事が行われたが、そのテーマである、「完全参加と平等」を実現するには、障害者自身の努力と、社会の理解の広まりと深まりが一体となるときに、大きな前進があることが改めて認識され、養護教育の一指針ともなる、意義深い大会であった。

この大会の成功は、関係者の努力は勿論であるが、県教育長の「激励のことば」や、県知事から頂いた「祝辞」にあらわされた力強い励ましや、郡山市長から選手全員に三春駒が贈られたことなど、各方面からの温かいお心遣い、そして、県陸上競技協会の全面的な協力を頂いたことなどが、大きなカとなりました。

 

入場式

入場式

 

それ!がんばれ

それ!がんばれ

 

 

 


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