教育福島0077号(1982年(S57)12月)-035page

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知っておきたい教育法令

 

教育法の体系(総務課管理主事・古関隆史)

 

一 はじめに

 

教育は、日々に成長・発達していく人間の形成に関わるものであるから、本来は法の規制になじまないものであるといえる。しかし、現在多くの法によって教育行政が行われているのは、わが国が議会制民主主義のもとで成文法主義をとっているとともに、戦後の教育行政が法律主義の原理に基づいているからである。

教育法といっても、そのような統一的名称の法律があるわけでもなく、また、教育に関する事項のすべてがまとまって法体系化されているわけでもない。ここでは教育法とは、教育行政あるいは教育制度に関連する法のまとまりを総称するものとして理解することとしたい。

 

二 教育法の体系

 

わが国は、法治国家として憲法を頂点とする秩序だった統一的法体系を構成している。教育法も、それ自体一つの体系をもっている。この教育法の体系はどうなっているのか、「教育課程」と「勤務時間制度」を例にとって考えてみる。

(一) 教育課程を例にとって

市町村公立学校においては、各市町村教育委員会が設けている管理規則に従って、学校の教育課程は学習指導要領の基準により、校長が編成することになっている(市町村公立小・中・養護学校管理規則準則十三条一項参照)。また、県立学校についても、県教育委員会規則の福島県立学校の管理運営に関する規則十五条一項に同様の定めがある。これらの管理規則建地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下「地教行法」という。)三十三条一項に基づいて制定されたものである。

また、これら管理規則にみられる学習指導要領は、文部大臣が公示する文部省告示であり、これは文部省令の学校教育法施行規則(二十五条、五十四条の二、五十七条の二)に基づいている。そしてこれらの規定は、学校教育法(二十条、三十八条、四十三条)に基づいている。

なお、各学校において教育課程を編成するにあたっては、県教育長通達として教育課程編成上の留意事項が出されており、この通達は県教育委員会の市町村教育委員会に対する指導・助言について規定する地教行法四十八条二項二号に法的根拠をもっている。

(二)「勤務時間制度」を例にとって

県立学校職員の勤務時間について本県では県人事委員会規則である職員の勤務時間に関する規則二条によって一週四十四時間と定められている。これは、県条例の職員の勤務時間に関する条例二条一項によっている。さらにこの条例は地方公務員法二十四条六項に基づいて定められたものである。

なお、県費負担教職員については、地教行法四十二条に基づいて、福島県市町村立学校職員の給与等に関する条例が定められ、その十条で県立学校職員の例によるとされている。

次に、県立学校職員の具体的な勤務時間の割振りについては、福島県立学校の管理運営に関する規則十九条によって定められ、これは職員の勤務時間に関する条例二条三項に基づいている。また、県費負担教職員については市町村立学校の教職員の勤務時間に関する規程等によって、各市町村教育委員会が割振りを行うか、または、その権限を校長に委任するかあるいは専決させている。この規程に定められている割振りの権限は、福島県教育委員会の権限に属する事務の一部を市町村教育委員会に委任する規則に基づいて定められ、更にこの規則は、地教行法二十六条三項に基づいている。

 

三 おわりに

 

以上のように、教育に関する事項を規定するそれぞれの法規は、互いに有機的な関連をもちながら体系をなしている。いわば、国の根本法規である憲法そして、法律−政令−省令−告示−訓令−通達等の国法の体系があり、また、憲法九十四条で保障されている地方公共団体の自治権に基づく自主法として、条例−規則等があるように、この体系が相互に矛盾なく機能することによって、公教育は維持されていくのである。

 

 

 


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