教育福島0077号(1982年(S57)12月)-034page

成人の日におくる一冊の本

　

県立図書館館外奉仕課長

赤座　信道

　

　

図書館コーナー

　

ここ三年程、「成人の日におくる一冊の本」として、全国の読書施設関係者がリストアップしたものの中から、十数点を紹介していたが、今年は若人が、現代社会に生きて行くのに一読してほしいと思うものを、更に範囲を広げて、この一年間の出版物から紹介する。

行政改革島恭彦等編青木書店

一八○○円。臨調「行革」の本質を分析し真の行革を提示。

子育て十年子別れ十年　俵　雨子あづさ書房　一二〇〇円。我が子の成長と親ばなれの悩み、喜びを描く。

エサ米　−その思想と栽培−　飼料米情報センター編　家の光協会　九八○円。農政への反逆児エサ米の思想と多収の条件。

土があって私がある　原田　津家の光協会九八○円。土を愛し、農に生きる33人の生き方を描く。

寺田寅彦覚書　山田一郎　岩波書店

二五〇〇円。寅彦の人生のドラマと文学を克明に辿る労作。

昔話と日本人の心　河合隼雄　岩波書店　二〇〇〇円。日本人の心の固有のあり方を見事に浮彫する。

核戦略の曲り角　豊田利幸　岩波書店　二〇〇円。核戦略の現状を平易に解説。市民必携の書。

日本経済の実像とゆくえ　宮崎　勇岩波書店　二〇〇円。揺れ動く日本経済の実像を理性的に見なおす。

探訪　中國の史跡　田辺昭三　角川書店　一四〇〇円。中国の歴史の旅の新しい案内書。

愛子の新・女の格言　佐藤愛子角川書店　九八○円。自らの教訓を織りまぜて編んだ新・女の格言。

小説吉田茂　戸川猪佐武角川書店　九八○円。なぜ今吉田茂？求められる宰相の資質は何か。

意識、心理学への道　戸川行男　金子書房　一八○○円。人間・精神・意識とはを学として問い明かす。

開かれた大学へ　斎藤諦淳等編ぎょうせい　一八○○円。大学の解放及び大学教育改革の進展を詳述。

例解文章ハンドブック　塩田紀和等編ぎょうせい　二五〇〇円。具体的なケースに則して文章表明のコツを解説。

戦前・戦中・戦後　武見太郎　講談社：八○○円。日本の中枢の場で立ち合った歴史的証言。

激論・ニッポンの教育小田実講談社、一二〇〇円。教育危機の最大問題点を各分野代表が激論。

さらば何でも東京病　宮沢　弘講談社　一五〇〇円。地方の時代の到来と地方都市の魅力を語る。

時代の流れをどう読みとるか　竹内

宏他　講談社　二〇〇円。明日を見通し、現在を考えるヒント発想。

幻の繁栄ニッポン　ウオロノフ　講談社　一三〇〇円。今日の日本の経済的優位は本物なのだろうか。

ガン宣言　松岡寿夫　講談社　九八○円。NHKTV感動の誌上再現。

すこし枯れた話　高橋義孝　講談社

一〇〇〇円。粋人教授として名高い九大名誉教授の手による粋な書。

法律家として人間として　奥野彦六三一書房　二〇〇〇円。元東京弁護士会長の滋味あふれる好随想集。

私の国土哲学　原沢東吾　三一書房　：八○○円。列島改造論に対決する市民の都市・村落論。

新人を育てる　−企業こそ人間教育の主役−　池沢章雄他　産業能率大出版　：一〇〇円。過保護と甘えを排し自律できる新人への道は…。

人生の大学に卒業はない　ービジネスマンの行動指針六十−　産業能率大出版　一二〇〇円。組織人として仕事にいかに取り組むかを説く。

日本の教育　ドイツの教育　西尾幹二　新潮社　八○○円。ドイツの教育を合わせ鏡にした日本の教育論。

文明が衰亡するとき　高坂正尭新潮社　八五〇円。文明衰亡の姿に通商国家日本の未来を採る。

問ひ質したき事ども　福田恒存新潮社　九五九円。報道、防衛、憲法言論、文学を論じた八編。

文科系にもわかる日本の先端技術入門　青柳　全　実業之日本　一一○○円。現場第一線の著者が簡潔解説する科学入門書。