教育福島0079号(1983年(S58)02月)-047page

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教育福島0079号(1983年(S58)02月)-047page


ふるさと探訪

 

県指定重要無形民俗文化財

八槻都々古別神社の神楽

 

所在地 東白川郡棚倉町大字八槻字大宮

保護団体 八槻都々古別神社楽人会

 

で、七座全部を演ずるのは、六十年毎の神興巡幸のときで、御旅所で舞われる。

 

都々古別神社には「七座の神楽」と「太々神楽」が伝えられている。「七座の神楽」は旧暦十一月一日の霜月祭に、拝殿で行われる。例年は二、三座を演ずる習わしで、七座全部を演ずるのは、六十年毎の神興巡幸のときで、御旅所で舞われる。

曲目は巫女舞、幣舞、弓舞、白杖、散米舞、剣舞、神扇、獅子舞である。ただし、巫女舞と獅子舞とは本来は別にあったもので、これを前後に加え、神扇と散米舞をつづけて舞って一座とし、数を合わせている。

「七座の舞」は、出雲佐陀大社の七座の神事の採物舞の系統を引く。こちらには御座替のための「御座舞」こそないが、七座の神事の面影をよく残して、出雲のが遠くみちのくにも伝えられたものであることを物語っている。「七座」の名称と共に舞が残っているところは、東日本には他にほとんどない。囃子は大胴、大拍子、笛、摺り鉦。七座の舞の型は一定になっている。佐陀のものと比べて、拍子も舞も関東風に変化はしているが、昔の信仰と、神事舞伝承の様子をよく示している。

「太々神楽」の曲目は、天地開闢、玉矛舞、四方堅、大蛇退治、小弓舞、岩戸開など、計三十六座あり、以前は講中の奉納、あるいは他社からの招請などによって演ぜられてきたが、近年は講中の奉納もまれになった。この舞は、県内にひろく行われている太々神楽と同じ系統のもので、磯子は大小大鼓に笛で、以前は鼓も用いていた。曲も乱声、四つ、あさか、いわせ、みかぐらなど十曲前後あり、これを組合わせて一座の舞を構成する。その舞はそれぞれ舞の型が異なっていて、工夫がある。

「七座の神楽」「太々神楽」とも、もとの社家たちが伝承していて代々世襲で携わってきている。その伝承も確かである。

奉納神事舞の古風を残したものとして、文化財として高い価値が認められる。

 

 

 


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