教育福島0082号(1983年(S58)07月)-012page
られたこともあります。だから、普通こういった機会に出会わない私たちだから、交流学習を続けていきたいです。そして、養護学校の人達ともっともっと親しい友達になりたいと思っています。
(研究公開授業道徳資料)
三 研究の成果と課題
第一年次は、心身障害児の正しい理解を深めるための基盤づくりとして、まず全職員の交流教育に対する共通理解を図るとともに、生徒の心身障害児に対する意識の高揚を図りながら、この研究のねらいを正しく理解するための計画と実践であった。しかし、二学期から積極的に直接交流をとり入れて交流活動のねらいを「人間的なふれ合いを基盤に、思いやりの気持ちをもつて相手の立場を理解し、温かい人間関係を深める」ことととらえ、交流活動を実践してきた。
また、三つの交流のステップをおさえて、初年度はまず、「見る」こと、そして「ふれ合う」ことに重点をおき研究を推進した。
第二年次は、昨度の実践と反省の上にたって、本校の教育目標の第三項である「心優しく、礼儀正しい生徒」を一歩推進させ、生徒活動の組織の中に新しく交流委員会を設置し、交流活動の中核的な存在としての役割を果たさせた。発足当初は不安と緊張がみられたが、交流活動を進める過程で、養護学校の生徒達が懸命に病気を克服しようとしているきびしい姿や明るい生活態度に感動し、勇気づけられ、積極的にふれ合い、「わかり合う」ことが大切であることを実感として感じとった。
全校集会では、交流委員会に参加した代表生徒によって、その体験が発表され、全生徒に感銘を与えた。また、これまで中学校ではあまり類をみない「授業交流」を行い、すこしのわだかまりもなく授業が進行し、一人一人の生徒に充実感がみられたことは、交流教育が一歩前進したあかしと見ることができる。
また、実際に交流して得た成果を学級指導と関連させ、より心身障害者に対する理解を深めさぜ、さらに、この交流活動を生かしながら、道徳や学級会活動の中でもその理解を深めるとともに、教育活動全体を通じてあらゆる差別や偏見をなくしていく人間尊重の教育を推進した。
第一学年は、中学校生活に希望と期待をもって入学した生徒たちがのぞましい人間関係を育てるために「たがいに理解を深め一友情の輪を広げる」ととに重点をおいた。新しい環境の中で交流活動に参加し、とまどいながらも上級生とのふれ合いの中で貴重な体験をした。そして、道徳や学級指導を支柱として深化し、実践活動を積極的に進めてきた。
第二学年は、心理的にも動揺しやすい時期であるので「たがいに励まし合い協力して、集団生活を向上させる」ことをねらいとした。学年への正しい理解と認識をはかりながら、道徳、学級指導と交流会活動を関連つけ、好ましい人間関係の育成とその内面化を図り集団生活の中で思いやりのある気持ちをもつことのできる生徒の育成を目指してきた。
第三学年は、進路の選択、決定と精神的な負担が大きいため、ややもすると学級内でも排他的な仲間意識をもつことも少なくない。そこで「たがいに相手の立場を考え、自己の伸長を図るとともに人間愛の精神を深める」ことをおさえ、道徳、学級指導を通して、相手の立場に立って行動できる生徒の育成に努めた。特に三年生は交流活動への自主的な希望参加の生徒が多く、仲間としてわけへだてせず歓迎する態度がみられ、交流教育の成果が得られたように思われる。
本校の「心身障害児に対する正しい理解を深めるための交流教育のありかた」は、まだその緒につき模索の段階であり、数多くの課題を残している。今後、県立須賀川養護学校と実践可能な交流行事を精選し、恒久性、普遍性のある交流教育を志向し、本校の卒業生が将来、社会のあらゆる生活の中で人間愛の精神をもって人間尊重の実践者として、たくましく生き抜いていく姿を願うものである。
3年3組の理科の授業でグループ実験に参加
研究発表会で群馬大学細村教授の講演