教育福島0082号(1983年(S58)07月)-014page

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はじめに

 

今年度の高等学校教育に関する行政施策のうち、生徒指導に関する重点目標は次の四つである。

1、生徒指導体制の充実改善を図る。

2、生徒理解に努め、学校生活への適応を促す指導の徹底を図る。

3、非行の未然防止と交通事故防止の徹底を図る。

4、中・高連携及び生徒の社会参加活動の推進を図る。

これらの目標建昨年度のものと大きく変るものではないが、新たに生徒の社会参加活動の推進が加えられ、一層充実したものとなった。

県教育委員会では、これらの重点目標を具体的に実現し、高等学校の生徒指導の改善充実に資することを目的として、次のように生徒指導推進校を指定している。

一 五七・五八年度の二か年間「生徒の社会参加についての実践的研究」を主題に地域の行事への参加を通じ地域社会における役割の自覚、また郷土愛の育成など、地域社会に根ざした実践研究しをている湖南高校。

二 同じく五七・五八年度の二か年間中学校と連携した生徒指導の進め方について、二本松工業高校並びに勿来高校のそれぞれの実践活動状況。

三 五七・五八年度の二か年間、生徒指導推進地域として、学校・家庭・地域社会が一体となり、地域ぐるみの生徒指導をめざして活動している会津若松市。

 

次に、県教育委員会の五七・五八年度指定の研究推進校並びに推進地域の実践状況を紹介し、各学校・地域の生徒指導のあり方について参考に供したい。

 

生徒の社会参加についての実践的研究

 

○湖南高校

 

高校生の年代は、実際的、社会的な経験に乏しく、ややもすると大人や既存の価値観に批判的になったり、反抗的な行動に走ったりしがちな時期である。また一方では大人や仲間との触れ合いを求めながら、それが果たせない場合、孤独感や疎外感をもちやすく、進路問題などの悩みともからんで、このような傾向は一層強くなる時期でもある。これら高校生の中には、健全でしかも充実した生活をおくっている生徒が多い反面、非行や問題行動に走る生徒も少なくない。

このような状況は、高校生が生活の大部分を学校教育の範ちゅうでおくり家庭や地域社会とのかかわり合いが少なく、社会性や地域社会における役割意識に乏しいことも一因であろう。

この年代における課題を適時に達成し、自己確立を図るためには、高校生に地域活動に参加する機会を与え、その構成員としての役割を自覚させ、実践を通しての社会参加活動を教育活動の中に位置づけ積極的に推進する必要があろう。

このような観点から、「生徒の社会参加活動についての実践的研究」を主題に研究に取り組んでいる。

 

一 主題設定のねらい

 

新学習指導要領では、教育課程の編成にあたり、地域や生徒の実態に即したものであること。豊かな人間性の育成を目指すものであること。更にはゆとりある、しかも充実した学校生活がおくれるよう配慮することなどを重視している。

当校の大多数の生徒は、高校三年までの十数年間を当地域で生活しながらともすれば地域への感謝の念やその恩恵を忘れがちであり地域への帰属意識や連帯意識も希薄になる傾向がある。それが、自己中心的な考え方や行動となって現れているとも考えられる。

更に卒業後はほとんどが地元を離れる生徒であり、地域で失われるもの、見失いがちなものに気づき、ふるさとを見つめ直す何らかの手だてが必要であろう。このような状況を踏まえ一次のねらいの下に研究実践に取り組むことにした。

1 郷土の形成者として、集団の中で自分の立場を自覚し、進んでその役割を果たす生徒を育成する。

2 豊かな人間性と健康な身体を備え動労を尊ぶ質実勤勉な生徒を育成する。

 

二 実践活動の目標

 

実践にあたっては、次りような具体的目標を設定した。

1 生徒一人一人が主体的に取り組む実践力を養う。

2 地域への関心や理解を深め、郷土愛を育成する。

3 家庭・学校・地域の一員としての役割と責任を自覚させる。

4 地域の人々と共にする奉仕活動、文化活動、スポーツ活動等を通して地域に生きる喜びと勤労の喜びを体験させる。

 

三 教育課程への位置づけ

 

第一年次は、試行的実践活動であり特別の時間を設定せず、学校行事、生徒会活動、ホームルーム、クラブ活動及び放課後の時間の中で実施した。

第二年次は、教育課程に学校裁量時間を二時間設け、実施活動は主にこの時間をあてることにした。また、活動内容によっては、ホームルームやクラブ活動も併用し、地域理解の学習には

 

 

 


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