教育福島0082号(1983年(S58)07月)-020page

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ては、中・高校教師の接触の機会が少なく、親近感がないことや地域的な取り組みに欠けていることなどがあげられており、今後、信頼関係を確立し、相互交流の機会を多くつくるなどして連携を深めていくことが課題と言えよう。

なお、「勿来高校は、地元の期待にそった学校だと思いますか」の問いに対し、「そう思わない」との回答が二二・一%もあり、この数字を厳粛に受けとめ研究実践の指針の一つとしている。

 

(二) 地域の組織を通した実践活動

 

1 地区中高連絡協議会

当地区では、以前から生徒指導や進路指導に関する諸問題について中高の情報交換や対策等の検討が行われてきた経緯があるが、中高連携の気運が高まる中で、昨年、正式に組織化されて発足し、一層の充実を図ることになった。

この会は、高校四校、中学校一〇校からなり、高校の中途退学の防止や中高相互の公開授業に基づく研究協議会の開催等について協議を行った。

2 地区学校警察連絡協議会

いわき南警察署管内の学校と警察が相互の緊密な連携をもとに、児童生徒の健全な育成と交通道徳の高揚を図るために、昭和三十二年六月に創設された組織で、古くから中高連携の緊密化の役割も果たしてきた。

協議会には補導部会、交通部会、小中部会、中高部会があり、更に、地区の防犯協会、交通安全協会、市少年センター勿来分室も加わり、協議会の各種事業を推進している。

活動は、多様であるが特に、中高部会の中高連携に果たす役割は大きい。

また、昭和五十六年度から、各校が生徒指導の事例を持ち寄り、「生徒指導事例研究集」を刊行するなどして、学校間の相互理解に基づく連携の深化に役立っている。

 

(三) 公開授業に基づく研究協議

 

現在の生徒が中学時代に指導を受けた教師を招いて公開授業を行い、生徒の実態に即した学習指導法の研究と、中・高校の学習指導の一貫性を図るための研究協議を行った。

1)教科・学年

数学、一年二組

2)日時

昭五八年一月十九日(水)

3)日程

第5校時授業参観 研究協議

午後二時一〇分−四時五〇分

4)参加中学校

地元五校の数学担当教師(七名)

5)研究協議には、高校の授業を参観できたことの意義や感想、中学校の授業の反省など、中学校側からの率直な発言が多かった。

学習指導に関するさまざまな問題について、研究を深め得た以上に、中高の教師の相互理解とそれに基づく人間関係を確立する上での成果があった。

 

(四) 中学校訪問の実施

 

中高の教育活動についての相互理解を深めるとともに、新入生の中学時における学校生活状況や家庭環境等を早期に理解するための情報交換を行い個々の生徒の高校生活への適応を高めるための指導に役立てたい。

1 改善事項

生徒の学習状況を出身中学校に知らせるために、中間考査直後に期日を設定し、資料を準備した。

また訪問の際に持参する資料に、「中学担任への便り」、入学当初の「私が一番やってみたいこと」作文を加えた。

2 期日及び訪問校

昭和五十七年六月十四日(月)より六月十八日(金)、訪問校九校

 

四 今後の課題

 

(一)目的意識を高めるために

 

1 入学してくる生徒に対し、事前に学校理解をより深化させるため、学校案内のパンフレット等の作成や体験入学の実施について積極的に取り組むこと。

2 生徒の自主的活動を推進するためにリーダー養成の方途を講ずる必要がある。中学校からの生徒の個別資料を活用し、個々の生徒の生きがいの発見に努める。

3 地域社会の期待に応え得る魅力ある学校づくりを目指し、共通理解に基づく中高連携を一層深めるとともに、校内の指導体制の強化を図る。

4 保護者の教育への関心を高めることが生徒の意識の向上にもつながるので、地域社会や家庭との連携を密にする方策を講ずる。

 

(二) 学習意欲を喚起するために

 

1 基礎学力が十分に身につかないまま入学してくる生徒が多い状況を考慮して中学校の協力を得ながら、教科学習面でのつまづきの状況や内容を明らかにし、学業面での不適応を防止する方策を講ずる。

2 高校入学後の学習への移行を円滑にするため、各教科の中学校の学習内容を調べるとともに、生徒の学習面のつまづきの状況を明らかにし、中学校から高校への、いわゆる「つなぎ教材」などの開発を推め、学習指導に活用する。

3 公開研究授業の中高相互乗り入れを計画的に実施し、学習指導面においても中高の一貫性を確立する。

 

おわりに

 

生徒指導における中高連携の強化

 

 

 


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