教育福島0083号(1983年(S58)08月)-054page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

教育福島0083号(1983年(S58)08月)-054page


ふるさと探訪

県指定重要文化財(彫刻)

木造二十八部衆立像 三〇◆

 

ぞれ十四体ずつ(雷神・風神を加えれば十五体ずつ)が、五段に並列されている。

 

二十八部衆は千手観音の護法善神で、真言陀羅尼の諦持者を病気、災害から守護するという。恵隆寺の千手観音の左右壇にはそれぞれ十四体ずつ(雷神・風神を加えれば十五体ずつ)が、五段に並列されている。

二十八部衆は数人の手になり、ケヤキやホウ材による一木彫成であるが、全体的に彫刻は浅く、面貌や動作に動きなく、上下、左右のバランスも必ずしも良好とはいえない。また尊容等は儀軌によらず、地方色も濃厚である。したがって鎌倉時代を代表する京都三十三間堂の裏廊下に配列される二十八部衆の、生ける人間のごとき生々しい写実性や精神性の深さ、伸びのある彫法とは比較しようもない。しかし、時代が下るとはいえ、これだけ大きな地方作の二十八部衆が完全にそろっているのは壮観で、珍しい。彩色は慶長大地震後、桃山時代〜江戸初期に塗りかえられたもので、図柄は宝相華文や迦陵頻伽等見事なものであるが、更に効果を増すために胡粉盛り上げの一部に透き漆を塗り、その上に金箔を置くという技巧を凝らした個所も多く見られる。

 

大弁功徳天(二十八部衆の一)

像高百六十センチメートル、ケヤキの頭胴一本造り。両肩ハギ合せ、背面は肩下より裾先まで背割りし、共木で蓋をする。面貌は彫眼、眉目秀麗であるが、人形化している。腰裳は二段、三段にまとめるが、その彫刻は浅く、動きもにぶく、彩色によって補われる観がある。彩色は全体を胡粉で塗り、その上に桃山様式の絢欄たる宝珠、孔雀文等を描く。

 

所在地 河沼郡会津坂下町大字塔寺字松原二九四四番

所有者 恵隆寺

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。