教育福島0085号(1983年(S58)10月)-011page
自ら求めて問題を見い出し、追究しようとする子どもの育成
いわき市立郷ケ丘小学校
児童が自ら求めて問題を見い出し、追究しようとする主体的学習態度を身につけさせるためには、ゆとりある充実した授業の展開により、児童一人一人にじっくりと学習に取り組ませて喜びや成就感が味わえるようにすることが大切である。
以下、二か年にわたる研究実践の中から学習指導に重点をおいて述べる。
一 研究内容
(一) 指導計画の改善
(二) 研究で目ざす児童の姿
(三) 学習指導法の改善・充実
(1) 文学教材の基本的指導過程
1) ひとり学習
2) 相互学習
(2) 指導内容の精選、重点化とひとり学習
二 研究実践の内容
(一) 指導計画の改善
(1) 改善の視点
1) 学習指導要領の目標内容の分析
2) 指導内容の系統性の把握
3) 基礎的基本的内容の重視
4) 児童の主体的学習の重視
5) 地域および児童の実態の把握
(2) 教材の精選
次の点に配慮し、精選を図った。
1) 指導要領の目標や指導内容の分析
2) 教材の分析
3) 児童の能力や発達段階に即応した教材の選択
4) 基礎的基本的な能力の向上
5) ゆとりをもって取り組める量と質
(3) 指導計画の作成(次ページ表)
1) 学習指導要領の目標・指導内容の系統性を把握した。
2) 国語力や情意面等についての児童の実態を把握した。
3) 教材内容の分析により、精選と重点化を図った。
4) 学校の教育目標、研究主題とのかかわりから、単元における「指導の重点や手だて」を明確にした。
5) 「ひとり学習」の時間を重視し、児童がじっくりと考える時間の確保を展開の中に位置つけた。
6) 主体的読みを深めるとともに、基礎的基本的事項をしっかりと身につけさせるために、読み取りに必要な語句や重要語句を明示した。
(4) 指導計画に対する反省 指導計画の自校化は、研究主題にせまるために、学年毎の指導方法や手だて、また、各単元における指導の重点が明確化されたことに成果が見られたが、なお、反省として次の点があげられた。
1) 基礎基本の項目欄を、指導上の留意事項として、研究テーマに直結する指導の方法や手だてなども記入した方がより効果的であった。
2) 指導計画改善に資するため、評価項目の記入および指導後の反省を記入する欄が必要であった。
3) 年度始めは、事務や行事などが多いので、第一単元には若干の時間的余裕を持たせる必要があった。
(二) 研究でめざす児童の姿
(1) めざす児童の姿
1) 自ら問題を見い出し解決するために、その方法を工夫し考える。
2) 自力で考えが及ばない時は、みんなで考えを補い合い、難かしい問.題にあっても根気強く取り組む。
3) この解決の過程では、意見の主張もあるが、みんなの意見にも耳を傾け、多面的に見たり考えたりする柔軟性をもち、自分の考えを深化させようとする。
(2) 「読み」の指導の手だて
1) 課題を持たせるための手だて
ア初発の感想の書かせ方を、教材によって工夫する。
イ全文を通すめあてやあら筋を意識させて共通課題を設定する。
ウ個人の課題を持たせる。
2) 課題を追究させるための手だて
ア 一人学習の時間を確保する。
イ 学び方を身につけさせる。
ウ 自分の思考の足跡や変化、深化がわかる主体的なノートづくりに取り組ませる。
エ ひとり学習の時間における教師の制御(指示、説明、確認など)を極力押さえ、個別指導や実態把握に力を入れる。
オ 相互学習では、叙述に即して内容を精査し練り合い、自分の考えの修正と深化を図らせる。
3) 追究したことを確かなものにするための手だて
ア 低・中学年では、登場人物への共感や感動を更に高学年では主題に迫る感想をまとめさせる。
イ 毎時間、またはポイントになる場面や単元の学習の最後に、自分の学習状況を自己評価させる
ウ 深い読み取りによる感動を声に出して朗読させる。
4) これらの手だてと並行して、児童の資質を高めるために、日常生活における言語教育や読書指導も強化することが必要である。
(三) 学習指導法の改善・充実
従来の授業をふり返ってみると、教師主導の授業からぬけきれないで、話し合いに終始し文章から遊離しがちであったり、指導内容が多過ぎて児童がじっくり学習に取り組めない場合がある、などが指摘される。
(1) 基本的指導過程について
読みの指導過程は通常、問題把握→問題の究明・追究→発展・適用の段階がとられる。本校では共通の学習課題の設定→ひとり学習→相互学習という課題追究の指導過程を組ん