教育福島0086号(1983年(S58)11月)-046page
ふるさと探訪
県指定重要有形民俗文化財
昭和村のからむし生産用具とその製品
〈371点〉
所在地 大沼郡昭和村大字大芦字宮田1588番地
所有者 大芦民俗資料保存会
所有者の住所 大沼郡昭和村大字大芦字宮田1588番地
からむしの栽培およびからむし織が奥会津の山村へ普及したのは、応永年間(一三九四〜一四二八)芦名時代の奨励によるとされ、小千谷縮・越後上布の原料として、明治初期までは相当盛んに栽培・移出され、地元でもいざり機織りが行われていた。
夏衣の涼感、肌ざわりの良さで高く賞美されていたが、栽培およびおうみ(苧績み)加工の容易でないこと、いざり機織りの手工芸的技術の伝承が困難で、急激に衰微し、かろうじて現在、大沼郡昭和村の大芦一帯に維持されている。
昭和三十年、この織り技術の伝統保存のため、「小千谷縮・越後上布」は重要無形文化財に指定された。しかし、この原料のからむしは、ほとんど昭和村産に依存しており、苧引きした青苧(あおそ)として移出している。
しかし、まだ大芦には栽培、あおそ引き、いざり機織りの技術の伝統が保持されており、その用具一切も保存され、昭和村農業協同組合からむし生産部会では、その伝統技術の保存にも努力している。
からむしの栽培、製糸、機織りなど、全工程にわたる用具と、その原料および製品をほぼもれなく収集しており、同村のからむしを用いた習俗を知る上で貴重な資料である。