教育福島0087号(1983年(S58)12月)-014page

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ている。

本年度は、これまで、坂内青嵐、太田秋民、宮川教助、赤城泰野等の郷土作家、小川芋銭、酒井三良、大下藤次郎等、県にゆかりの作家、また現代作家や作品の動向等について、遺族やコレクター、各種の展覧会等を通して、調査、研究を行ってきた。これからも亜欧堂田善、湯田玉水、関根正二、相田直彦等、本県の美術史上主な作家や作品の調査研究を行ない、全国的レベルでの美術に関する情報の中枢とすべく、調査研究を行ない、内容の充実を図るよう努力している。

 

三 県立博物館

 

○実施設計

博物館の建設準備として、本年度は昨年完了している基本設計を基に、建築実施設計並びに展示実施設計を委託することとし、建築実施設計については轄イ藤武夫設計事務所と七月二十八日に、展示実施設計については潟gータル・メデア開発研究所と同日付で委託契約を結んだ。なお、展示実施設計については、打合せも第三次まで進んでおり、展示の演出案の検討を進めながら、展示資料を特定する段階に入っている。

○展示資料の調査

実施設計に係る打合せと並行して、展示資料の所在調査、出品確認調査、コレクション調査並びに学術調査を進めている。所在調査と出品確認調査は昭和五十七年度、下半期に重点的に調査を進めたが、今年度は、実施設計との関連で、上半期の六月を中心に、県中、県南、浜通りを重点的に調査した。下半期には県北へ県中および会津地区を対象に調査を実施する予定である。昨年度は伊達郡梁川町の田口家資料を八〇〇点余収蔵したが、今年度は大沼郡会津高田町松坂地区から計四〇〇点の資料を収集した。

また、コレクション調査は、昨年に引続いて竹島コレクションの調査を進め、新たに三貫地遺跡出土品の整理作業に着手した。

○学術調査

県立博物館展示資料の学術調査については、昭和五十七年度に好嶋庄復元調査、新生代新第三紀中新生動物化石群調査、及び塩坪遺跡発掘調査の三事業を実施し、所期以上の成果をあげることができた。昭和五十八年度では、古生代サンゴ化石等浜通り地方古生物調査、火山灰地域における旧石器時代遺跡確認調査、白河東部弥生時代遺跡確認調査、白河東部弥生時代集落群発掘調査並びに浜通り地方海事風俗調査を計画し、すでに火山灰地域調査は、現地調査を終え、まとめに入っているが他の三事業も、明年一月からはまとめに入ることになっている。

このほか、本年度はとくに、滅びゆく伝統技術の復元調査事業として、木地師の伝統技術復元調査を実施し、所期の成果をあげることができた。

なおこれらの事業の実施にあたっては、当該市町村関係者の労をいとわぬ協力に感謝申上げたい。

 

文化財の保護

 

一 文化財の指定

 

文化財を保存し、かつ、これを一般に公開するなど、その文化的活用を図るため、文化財に指定し、その保存に努めているところである。国、県及び市町村の文化財指定件数は表のとおりである。 (表81)2)3)・表10)

 

二 文化財保護審議会

 

県文化財保護審議会(会長山口弥一郎)は現在十五名の委員で構成され、保存及び活用に関する重要事項について、調査審議を行うため設置されている。 (表9)

本年二月、同審議会から表10の文化財を県指定とする答申があり、本年三月二十五日付、県指定となった。

 

三 文化財基礎調査(昔話、伝説)

 

文化財の保護、指定推進の資料とするため、年次計画により種別ごとに悉皆調査を行っているが、昭和五十八年度から三年継続で、昔話、伝説を調査する。

昭和五十八年度 所在調査

〃 五十九年度 現地調査、収録

〃 六十年度 文字化、報告書刊行

 

四 方言収集緊急調査

 

昭和五十六年度から三か年継続で、調査を進めている。

調査地は、福島市、会津高田町、昭和村、相馬市、いわき市の五地区で、本年度は次の会話を録音採集し、文字化して共通語訳と注釈をつける。

○目上の者と目下の者との会話

○女同志の会話

 

五 歴史の道保存調査

 

昭和五十七年度から三か年継続で、県内の「歴史の道」ともいうべき江戸時代以前の古い道、河川等と、それに沿う地域に残されている歴史的遺産を周囲の環境を含めて、総合的かつ体系的に調査する。 (表11)

○本年度調査街道

白河街道  南山通り

米沢街道  越後街道

(調査候補・表11)

○本年度調査員

専門調査員

安田初雄  小林清治

誉田 宏  室井康弘

地区調査員  十名

○「歴史の道」調査報告書を本年度中に刊行する。

なお、昨年度調査に係る調査報告書の市販本が刊行されている。

 

 

 


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