教育福島0087号(1983年(S58)12月)-042page
ふるさと探訪
県指定重要文化財(彫刻)
木造日光菩薩立像
木造月光菩薩立像 二◆
付木造宝光虚空蔵菩薩立像
木造聖観音菩薩立像
日光・月光はともにケヤキ材で両肩・前後をはぎ合せ、内ぐりして肉身部にのみ漆箔・金泥を施す。玉眼を嵌入、頭部は首柄で体内に差し込む。高いもとどりを結い、耳朶には巻毛をつけるが、髪は毛筋まで丁寧に彫っている。顔はやや面長に作られ、腰裳の折りかえしが反転して二重・三重に複雑に纏められ、抽象化して太づくりなのは、室町時代作の特徴であるが、当時としてはこれ程大きなものは少なく、優秀な彫像といえる。左右の両手にもつ長い棒先に、雲座にのった日・月をつけ、日光菩薩・月光菩薩を区別する。台座は元のままであるが、金属製の宝冠・瓔洛は後補であろう。
木造宝光虚空蔵菩薩は、ケヤキの一木彫成、なで肩で面貌は卵形、法衣をつけ、腹帯をのぞかせ、左手に宝珠、右手を立てて宝剣をとる形に作られている。衣文の彫刻は浅く形成化し、毛髪の毛筋や背面の彫刻等は完全に省略されている。腹帯をもつ仏像は、例外もあるが一般的には南北朝以降、室町時代作に多い。これは室町末期の作と考えられる。
木造聖観音立像は、ケヤキ材、彫眼で、肉身部は漆箔、金泥を施す。宝髻は大きく、左手は屈臂して蓮華茎を持し、右手の指でこれを捻ずる聖観音通例の姿になる。伏せ眼、豊頬で、腰裳の作りは浅く、藤原様式を襲用するかの如くであるが、前掲の虚空蔵菩薩に類似するので作者は同一人であろう。宝冠瓔珞は後補である。
所在地 河沼郡会津坂下町大字大上字村北甲七八九番薬師堂内
(旧瑠璃光山調合寺)
所有者 浄泉寺
所有者の住所 河沼郡会津坂下町大字青津字本丁七一番地
木造月光菩薩像(172センチメートル)
木造日光菩薩像(174センチメートル)