教育福島0088号(1984年(S59)01月)-031page

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これらのことを含めながら実践した授業展開は図1の通りである。

 

五 研究の成果

 

上記の実践を通した結果、レディネスと学習形態の関連を次のようにおさえることができた。

(一) 四名のレディネスが「A」「A」 「A」「A」のとき

 

ひとり学習→グループ学習

 

G男 H男 I男 J子

三角形の面積は、同じ大きさの三角形を組み合わせて考えれば求められそうな気がする。

 

 

グループ学習

 

G男 H男 I男 J子

三角形の面積は、同じ大きさの三角形を組み合わせて四角形を作り、たてXよこ÷2で求められる。

 

「グループ学習」を取り入れた結果、四名とも「ひとり学習」のとき以上に、学習が向上していることから、「ひとり学習」が成立した上での「グループ学習」は思考の拡散、能率面で「しらべる」段階に有効である。

 

(二) 四名のレデーネスが、・それぞれ、「A」でも、個性的で内容的に違う「A」のとき。

 

ひとり学習→ハズ学習

 

G男「鉄ぼうをむけたのは、少年を助けるためだった」

H男「海に落ちた方が助かるかのうせいがある」

I男「少年をどうしても助けたかったから」

J子「父親は少年を助けるのに夢中だった」

 

 

バズ学習

 

 

G男 H男 I男 J女

マストに登った少年を助けたいために、父親は鉄ぼうを向け、夢中で「海へとびこめ」とさけんだ。

 

四人の学習の練りあげから、新しい考えが生まれた。このことから、「バズ学習」は、「ふかめまとめる」段階に有効である。

(三) 四名のレディネスが「A」「A」 「A」「A」のとき

 

ひとり学習→ペア学習→グループ学習

 

A男「太陽高度が高くなると気温も高くなる」

B子「太陽高度が一番高い時地温も一番高くなるようだ。」

 

 

ペア学習

 

A男 B子

地温は太陽高度の影響を受け、気温は地温の影響を受けるので地温と気温の温度の上昇度はずれがおきる。

 

一人一人の考えが内容的に違うとき、「異質ペア」を二組作り、それ

をもとに「グループ学習」を取り入れた。

「異質ペア」を組んだことにより、思考の練りあげによって新しい考えが成立した。それが、「グループ」学習を行うことによって、より発展した考えを生み出す。「ペア学習」「グループ学習」も「しらべる」段階に有効だ。

(四) 二名の学年でレディネスが「A」「C」のとき、「C」の状態では学習が効果的に成立しないので「B」を「A」の状態にまで個別指導して高めることが必要である。このとき教材の選択は「映像」に「言葉」ないし「事実」の表現形式を考慮して行う。

学習への動機づけとレディネスを高める活動を取り入れて「ひとり学習」を充実させ「ガイド学習」を取り入れたところ成果がみられた。

本校では、あくまでも「ひとり学習」の確立を前提に、今後も継統研究する考えである。

 

六 今後の課題

 

(一) 学習の充実とレディネスの客観的な把握を進めるため、各教科の評価の観点をもとにしたレディネスを確かにとらえる研究を深める。

(二) 学習の展開の基本となる「ひとり学習」を主体的に進められるようにするためには、教科の教材内容によって異なる学び方の学習を重視していく。

(三) 形成的評価を重視し、学習形態と密接にかかわる課題の設定や、学習ステップの構成の研究も重視していく。

(四) 指導過程における学習形態を実態に応じて弾力的に扱い、道徳や、特別活動でも活用できるように工夫する。

(五) 人間関係を重視し、個々のみがき合いにより調和的な発展を図る。

 

七 まとめ

 

三年間の継続研究の基礎となったものは日々の実践の積み重ねであった。児童の個々の変容について語り合える喜びは、いつしか私達教師の姿をも変えていった。

今後は、さらに研究を深め山型の数少ない一人一人の児童のために新しい道をきり開いていく考えである。

 

 

 


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