教育福島0088号(1984年(S59)01月)-042page

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教育センターから

 

理科指導に関する研究−紹介−

 

−小学校低学年理科・高等学校理科2)−

 

当教育センター研究事業の一環として「小学校低学年理科指導に関する研究」と「高等学校理科丑指導に関する.研究」をすすめてきたが、以下その概要について紹介したい。研究成果については、本年度末に刊行される予定である。

 

一 小学校低学年理科指導に関する研究

 

(一) 児童の実態と低学年理科の特色

 

身近な自然の事物・現象に直接はたらきかける活動をさせながら、感覚や行動を通して自然を全体的・直観的に把握する児童の特性を生かし、事物・現象の著しい特徴に気付かせること、、また、合科的な指導が推進されるようにすることが、学習指導要領低学年理科の主なねらいになっている。

低学年の児童は「きれいな石や葉を拾って集める」「虫をさがしてとる」

「砂や土でどろ遊びをする」など自然の中で自由に遊ぶことが好きである。児童はそのような遊びをしながら「おもしろいな」「どうしてだろう」「こんどはどうなるか?」「こうやってみたら…」などの感情や思考をまじえて

「できたあー」とか「やったあー」などの感動を現しながら自然にじかに接して楽しさを味わっているのが実態である。

要するに、ものの見方が主観的であること、新しいことにはすぐ興味、関心を示すが、他のことに興味、関心がうつるのも早いこと、体全部を動かしてやる活動的な学習を好み、長くて変化に乏しいことに飽きてしまうことが特性としてあげられる。

授業展開にあたっては、以上の特性をふまえて遊びだけの活動に終始することなく、教師のねらいにそった授業の流れの中で、自然の事物・現象に気付かせたり考えさせたりしていくことが大切である。どんな場面で児童に価値ある発見や経験をさせていくか、教師自身の工夫が求められるところである。

当教育センターにおいても、学校現場の協力を得て、効果ある低学年理科の授業展開について研究を行い、たびかさなる討議と実践をへて、今回多くの授業実践例と活動例をまとめた。

 

(二) 研究の内容

 

この研究では授業を展開していく上での基本的な考え方として

1)児童たちの意欲、意識につよく支えられた授業であること。

2)事物・現象にふれあう活動が連続的に発展していくものであること。

3)自然の感触を十分味わい得るよう教室だけでなく目標、内容にふさわしい学習の場と素材を広く求めて活動させること。

4)活動を通して自然に対する見方や考え方が深められていくこと。

以上四つの視点にたち、その視点から研究を推進してきた。また授業中の活動について情意的な面や知的な面から、評価の観点、手だてをあげて実践例や活動例を作成した。

なお実践例では、まず授業実践上のテーマをかかげ、本単元の授業を通して身につけさせたい能力や態度について、端的に表現した。ついで(1)単元名(2)単元の目標、(3)指導計画、(4)児童の実態、(5)単元構成と評価、(6)授業の実際、本時のねらいをあげて、教師のはたらきかけと児童の活動を中心に述べた。(7)考察、教師の児童に対するはたらきかけや活動の有効性を調査して、その結果をもとに述べてある。

 

(三) 合科的指導の実践例について

 

授業実践例の中には四つの合科的指導の事例をあげた。今まで合科的な指導を実施する上での問題点として、年間指導計画の立案が困難なこと。教科独自の系統性や本質が見失われがちであることがあげられていた。学習指導要領低学年理科の中には「理科は言語数量、造形などに関する諸活動との関連をはかり、指導の効果を高めるよう配慮する」ことが示されている。

児童の発達段階からも、小学校低学年では合科的指導による学習効果が期待されている。児童は教科、領域の枠をこえて内容豊富な総合活動をしていることにあわせて、今後は教師の総合

 

 

 


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