教育福島0089号(1984年(S59)02月)-031page

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的な扱い、及び2)A・2)B・2)Cの履習のあり方については、十分な研究が必要である。特に、英1)・2)が、2)A〜2)Cを達成するための下位目標ではなく、それ自体で完結する総合性をもっていることを再確認したい。

教科書の選択は、その教材の言語材料や内容が、生徒の実態に即応するだけでなく、具体的な授業の展開を想定し、学習活動の充実に最も効果的であるかどうかという視点からなされなければならない。

 

二 言語活動の教材の精選について

 

(一) 英語の学習は「言語活動」と「言語材料」の二つの柱から成っているが、とかく、後者に比重が偏りがちであった。ことばの本来の働きとしての表現力を養成・伸長させるために、言語活動を一層重視し、指導計画の中で明確に位置つけるとともに言語活動を行うための適切な言語材料を精選し、構造化することが大切である。

(二) 言語材料の精選と構造化については、既習教材との関連が、基本的に重要である。また、生徒の知的発達に相応し、言語活動の促進に効果的であることも、同じように重要である。

 

三 指導法の改善について

 

(一) 高校における英語教育の目標は、生徒が将来必要に応じて、英語その他の外国語をより深く学習できるための基礎を、偏りなく身につけさせるとともに、英語学習を通して、より広い視野と、国際社会の一員としての豊かな教養を培う基盤を築くことである。

この意味で、英語学習に意欲を失っている生徒には意欲を与え、意欲的な生徒には、更空局い目標へ挑戦させるような、内的動機づけをすることが極めて大切である。

(二) 言語活動を充実させるために、中学校における指導法に目を向けるとともに、毎時間の指導過程の工夫が一層望まれる。

(三) 学習習熟度別指導のあり方は、大別して、習熟度別学級編成という形と自然学級の中での個別化という二つになる。しかし、どちらの形をとるにせよ、本質的には、可能な限り、個々の生徒の学習を成立させることを目ざしたものである。従って、生徒一人一人の現在における学習到達度、それに即応する今後の到達目標群、それを達成する道すじ等の研究が不可欠である。

(四) 視聴覚機器の活用については、更に研究する余地がある。口は言うまでもなく、OHP、VTRの利用により、現状を改善できる大きな可能性がある。

(五) 英語の指導は、聞く、話す、読む、書くのそれぞれの能力を養うことであるが、究極的には、英語の指導を通して、人間形成を目ざすことである。生徒の学習を成立させ、その能力を可能な限り引き出そうとする教師の努力の中で、生徒との人間的な結びつきは、一層強くなる。この基盤に立って毎時間の授業を通し、生徒が成就感を味わうことができるような指導上の工夫を更に進めていきたい。

 

家庭

 

高等学校の家庭科は、女子の一般教養としての家庭科教育と職業教育としての家庭科教育との二面がある。このことが他の教科と異なるところである。また、小・中学校の家庭科学習の基礎の上に、衣食住、保育等に関する知識と技術を実践的・体験的な学習活動を通して習得させる教科である。このような教科の性格を踏まえ、次の諸点に留意して指導する必要がある。

 

一 教科の特質を踏まえた効果的な学習指導を行うため指導計画の改善、工夫に努める

 

(一) 各科目における指導内容の精選に当たっては、小・中学校との関連を図り基礎的、基本的事項に重点をおき、系統的、発展的に学習できるように努める。

(二) 生徒の能力、適性の多様化に対応し、実践的・体験的学習を重視して学習効果を高める指導法の工夫に努める。

(三) 学習目標を的確におさえ、学習過程における評価を工夫し、各生徒の学習が適切に行われるよう努める。

 

二 実践的・体験的学習の中核となる実験・実習の指導を一層効果的に進めるようにする

 

(一) 実験・実習に充てるべき授業時数は、家庭科の総授業時数の十分の五以上とし、各科目の目標、内容との関連を十分図り、適切な実習題材を位置づけるようにする。

(二) 実験・実習の内容に応じて一斉学習、グループ学習、分割学習など適切な学習形態を取り入れ、知識・技術が確実に身につくようにする。また個別指導を重視するとともに、技術検定も進んで受けようとする態度を養う。

(三) 実験・実習の指導を安全かつ効果的に進めるため、産振基準に基づいて施設・設備を計画的に整備し、効率的に活用できるよう日常の管理を十分にする。

 

 

 


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