教育福島0090号(1984年(S59)04月)-039page

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名を「学校体育経営講座」と改め、共通講座に位置付けたことである。

これは、知・徳・体の調和のとれた人間性豊かな児童生徒の育成の観点から学校体育をとらえ、小・中・高の体育指導の一貫性と体育経営の在り方の重視に呼応して位置付けたものである。

また、学校教育の今日的課題である生徒指導の充実徹底のため、各講座に、専門的内容に加え共通的な内容を設けている。これは、前年度の小・中における「相談的な教師」と高校の「生徒指導と学習指導」を改め、本年度は、小学校と中・高等学校との二つに分け、どちらも「生徒指導−相談的な教師1」に統一した。

なお、各講座では今年度も、教育現場や社会の要請にこたえ得るように、内容の一層の改善・充実に努めている。

紙面の都合上、詳細は各校配布の「昭和五十九年度福島県教育センター研修事業計画」を参照していただきたい。

 

二 研究事業について

 

これは、当教育センターの研究機関としての役割と使命を達成するため、広く全国的な視野にたって教育の動向を見守り、本県にとって必要と判断される学校教育上の長期的課題や、教育現場において当面する実践上の諸問題に対し、専門的・枝術的に解明していこうとするものである。今年度もプロジェクトチームによる共同研究や個人研究により、年次並びに年度の研究推進計画に基づいて研究を進めている。

この研究成果は、各研修講座内容に直接反映させるほか、当教育センターの所報・紀要・資料として刊行し、教育現場の更に充実した指導の実際に生かされるよう計画している。

当教育センターが本年度に取り組む研究課題及びその内容の概要を、これまでの経過を含めてここに紹介する。

 

(1) 学校の教育目標と教育課程に関する研究

 

これは、前年度までの三年間、経営的発想に基づく教育課程の展開(編成−実施 評価・改善)はどうあるべきかについて追究してきた「教育課程の経営に関する研究」を更に深化・発展させるため、昭和五十九年度から三か年計画で新たに取り組む研究である。

本研究は、学校の教育目標が日常の指導の実践に生きて働くことを願い、教育課程経営の改善・充実に役立つことを目指して行うものである。本年度は、県下の小・中・高の実態調査と本研究を支える基礎的な理論研究を行う。

 

(2) 学習指導と評価に関する研究

 

これは、一人一人の児童生徒のもつ資質や能力を可能な限り伸長・発揮させるための学習指導と評価についての研究で、昭和五十八年度から一二年間の継続研究である。

第一年次は、学習指導と評価に関する理論研究、並びに、県内の小・中・高等学校における教育評価の実態調査を実施してきた。

本年度は、この実態調査結果に基づいて、小学校からの研究協力委員による授業研究をとおして、学習指導と評価に関する実践研究を進める。

 

(3) 中学校理科の学習指導に関する研究

 

これは、昭和五十九年度からの二か年継続研究で第一年次に当たる。

理科の学習においては、直接自然に触れ、親しむことによって、自然を調べる能力・態度の育成や、知識・理解の深化及び自然と人間のかかわりあいを認識させることが大切である。

しかし、最近の社会においては、情報伝達の普及によって、自然の事象に直接触れる機会が少ない。

このようなことから、身近な自然を生かした理科指導について、実践的研究を行い指導資料としてまとめる。

 

(4) 福島県標準学力診断検査問題に関する研究

 

これは、学習指導要領の改訂に伴い、従来作成実施してきた当教育センターの標準学力診断検査問題を全面的に改訂するための継続研究である。

昨年度は、小学校(一〜三学年)の社会・理科について、県下の児童の学力の実態を分析するとともに、中学校第一学年の国語・数学・英語の検査問題作成について研究を行った。

本年度は、中学校第一学年の国語・数学・英語の予備テストの実施と、中学校第一学年の社会・理科の検査問題の作成について研究を進める。

 

(5) 児童生徒の耐性に関する研究

 

これは、本年度より新たに当教育センターがプロジェクト研究として取り組む「生徒指導に関する研究」の一つで、単年度の研究である。

本研究は、現代青少年の性格的特徴をふまえ、特に耐性の欠如と自己中心性に関し、理論研究と県内児童生徒の一般的な意識・思考・行動などの実態調査を中心とした調査研究であり、教育現場の指導・充実に資することを目指して行うものである。

 

(6) 事例を通した教育相談の進め方に関する研究

 

これは、「反社会的行動をもつ児童生徒の心理的な指導援助」で、本年度からの二か年継続の研究である。

本研究は、当教育センター相談部に来所する反社会的行動をもつ児童生徒の改善のための心理的アプローチを中心に研究するもので、家庭の問題(家庭的背景)、学校の問題(学業・生活・対人関係などの背景)、社会の問題(社会的背景)などを構造的にとらえ、更に、心理検査をもとに、本人とのかかわりを検討し改善を図る研究である。

 

 

 


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