教育福島0090号(1984年(S59)04月)-047page

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学校教育と社会教育の連携による青少年教育の振興について(建議)

 

福島県社会教育委員の会議(鈴木完一議長)は、昭和五十八年十二月二十日、県教委に対し別記のような建議を行いました。

 

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まえがき

 

近年、都市化や情報化社会等の進展にともない、家庭における教育機能の低下や青少年をとりまく社会環境の変化など青少年の健全育成にとって憂慮すべき状況にあり、学校教育と社会教育の連携による青少年教育の振興は、重要な課題である。

生涯教育の理念に立つ青少年教育のねらいは、青少年の成長過程に応じ、心身ともに豊かな発達を促し、生涯にわたり自己の形成を進めるための意欲と能力を育て、一人ひとりの青少年が社会人として自立していくことを目指している。

青少年の健全育成は、等しく県民のねがいであり、青少年の豊かな心を育てるためには、特に少年期には、活動性や自発性を育て、青年期には、自己の態度や行動に一貫性を保てるよう自己の確立を目指すなど、青少年期の発達課題の達成を図ることが必要である。そのため学校教育と社会教育の連携を一層深めて青少年教育の振興を図る必要がある。

このような観点から、左記のような行政上配慮すべき事項をとりまとめた、

 

一、公民館における青少年教育事業の充実

 

社会教育の中核の施設として、公民館においては各種の青少年教育事業が行われているが、その実施にあたっては学校との連携が十分とはいえず、また、公民館に対する学校の理解も十分とはいえない状況がある。

現状の改善に努め、青少年教育事業の充実を図り、学校教育と社会教育との連携を一層深める必要がある。

(一) 青少年教育事業の充実

学校は、公民館の青少年教育事業を有意義な学校外活動として重視し、連携を図ることが望まれ、また、市町村は公民館の人的物的条件を整備するとともに、事業の見直しや精選を図り、事業の充実に努める必要がある。

また、公民館は青少年教育事業の企画立案に当たっては、青少年の代表を参加させるなどさまざまな方策を講じて青少年の意向を反映させる必要がある。

(二) 学校の教職員の協力

青少年教育事業を充実し、学校教育と社会教育の連携を図るため、公民館事業への教職員の協力が望まれ、特に専門性を生かした協力が要請されている現状にかんがみ、地域の有志指導者として積極的な参加が図られるよう県や市町村の行政的配慮が望まれる。

(三) 学校と公民館との連携の強化

現状においては、学校と公民館との相互理解を図る場は必ずしも多いとはいえないので、学校と公民館との連携を一層深めるため、市町村教育委員会は、社会教育委員の会議や公民館運営審議会の機能の充実を図るとともに、学校と公民館の連携の場を地域の実情に応じて設けるなど、両者の連携を一層深める必要がある。

 

二、学校による社会教育施設・事業の利用促進

 

学校教育における校内での学習活動・行事等では十分達成できない面を補完するものとして社会教育活動を役立てることは、活動性や自発性を育てるために効果的である。

各種社会教育施設を利用した校外学習や集団による宿泊研修をさせることは、児童生徒の興味や関心を一層高めることに役立つものと考えられ、学校教育において社会教育施設や事業の利用の促進をさらに図る必要がある。

(一) 社会教育施設の利用促進

学校は、少年自然の家等の青少年教育施設の利用促進をさらに進めるとともに、公民館等の事業内容等について理解を深め、地域の実情に応じた利用計画をたて、その活用を図る必要がある。

(二) 学校に対する情報の提供

社会教育施設や事業の利用促進のためには、学校に対する恒常的な情報提供が大切であり、公民館はもとより、青少年教育施設、図書館、博物館ならびに体育施設等の情報を対象区域内の各学校に提供することが必要である。

(三) 県立少年自然の家の建設

学校教育と社会教育の連携を図る施設として、県立少年自然の家の教育的役割は大きな評価を得ている。未設置方部に県立少年自然の家を建設して、利用の拡大を図るとともに、利用については複数学年の利用をも考慮する必要がある。

(四) 施設運営への青少年の参加

社会教育施設、特に青少年教育施設の運営については、青少年が創意を生かして活動できるような場を作ることが望まれる。そのためには、施設運営について青少年の意見や発想を取り入れることが必要である。

 

三、地域の社会教育活動への学校の協カの促進

 

地域の青少年団体活動や文化的行事、体育的行事等への学校の協力を促進し、地域との連帯を深めるとともに、学校は、児童生徒の発達課題の達成を目指して、地域活動への参加に関する適切な指導を進めることが望まれる。

また、学校の地域活動への協力は、

 

 

 


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