教育福島0091号(1984年(S59)06月)-014page

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に生徒からのアンケートと諸検査を分析・検討した結果、学校生活の大半を占める学業活動に陥没点がみられることが明らかとなり、学業不適応の原因把握や、それらの排除、学習意欲の高揚、のぞましい学習習慣の形成など、学業指導の改善に迫られた。

これらの諸問題を解決するため、生徒一人一人の生育歴、環境、能力、適性、興味、進路希望など、個人の差異に十分な配慮をして生徒理解に努め、学業指導の改善を図ったならば、生徒は、いつでも、どこでも、何をするにも、「自ら学びとる」態度が身につくであろうことを期待し、主題を設定した。

 

二、研究仮説

 

既述のような内容をふまえ、主題にせまるため、次のような研究仮説を設定した。

 

正しい生徒理解のもとに学業指導の充実を図り、学びとる満足感、成就感の味わえる学校生活を組織すれば、一人一人の主体性が喚起され、「自ら学びとる態度」の育成が期待されるであろう。

 

三、研究組織

 

本研究の主題にせまるために研究推進委員会を設けた。また、学業指導研究部をささえるものとして、生徒理解研究部と特別活動研究部を組織づけた。

そして、各研究部が有機的な関連をはかり、研究に無理や無駄をなくし、生徒指導の機能が有効に働くよう、心がけ実践してきた。

 

四、「自ら学びとる」生徒像

 

本校では、自ら学びとる態度が育成された生徒の姿を次のように受けとめ生徒と教師の共通目標としている。

「自ら学びとる生徒」の受けとめ方

本校で考える「自ら学びとる生徒」とは、常に人間として正しいあり方を追究し、自己を磨き、自己を高めていく自主的、自律的な自己指導のできる生徒である。それはどんなに激動する環境に遭遇しても的確な判断力とたくましい実践力で生き抜き、生徒各自がよりよい方向に発展できる人間になってくれることを願ってのものである。

このように自主的、自立的な自己指導のできる生徒は、個人や集団の中にあっては根気強く、責任の果たせる生徒であり、お互いが認め合い、協力し合って物事に対処し、たくましい実践力を生み出す強い意志と体力を持たなければならない。

以上のことをふまえ、本校では、「自ら計画」し、「自ら実践」し、「自らたしかめ」のできる生徒を「自ら学びとる生徒」と受けとめている。

 

五、研究の構想

(15頁の表を参照)

 

六、各研究部の実践

 

(一) 生徒理解研究部

 

(1) 研究の視点

問題傾向を持つ生徒の多くは、学業不振にその原因をあげられ、学業指導の充実こそきわめて今日的、そして、切実な課題である。その学業指導も、一人一人の生徒理解がなされ、そこにはじめて実現可能となる。

個々の生徒を理解するといっても、単に氏名と顔だけの表面的な把握から、本人の性格、労力、生育歴、生活環境と詳細をきわめた生徒理解までさまざまである。そこで、客観的な生徒理解をはかるため、特定の生徒やある一部の学級にとどまらず、常に全生徒を対象にし調査をしてきた。

(2) 研究の概要

生徒理解研究部では、性格、学力悩み、環境等の把握のために、教研式学力検査、学習適応生検査、生徒

理解のための総合調査(Step)を行っている。特にStePの結果を分析、検討し本校生徒の実態を把握するとともに、問題を解決するために次のことを実践してきている。

○生徒理解カードの作成

○全職員による話しかけ運動

○学業不振生徒の情報交換

○生徒が自ら取り組む教育相談

○学級担任と教科担任との連携強化

(3) 生徒理解のための方策

1) 生徒理解(生徒指導)個人カードの作成と活用。一枚のカードである生徒の全貌がわかるように工夫した。事実の記録、家庭訪問録、教育相談の記録、諸検査、身体の記録等の欄を作り、中学校三年間継続使用できるようにした。保管場所も配慮し、全職員が必要に応じいつでも自由に活用できるようにした。(図1)

2) 生徒が積極的に取り組む教育相談の工夫。学期ごと一回実施する学級担任による教育相談、教科担任による教育相談、生徒が希望する教師との相談の三回である。特に生徒が教師を選んでの相談は、生徒主体の相談ということで意義が大きい。悩み調査や先生の指名相談の日時決定等の手順がある。

3) 全職員による話しかけ運動の展開。これは、教師が生徒一人一人に対し、話しかける機会を多くもつことである。授業中の指名、部活動の指導、登下校中の指導等すべて入れる。教師はいつも生徒名簿を持ち、話しかけた回数をチェックする。多い生徒と少ない生徒の実態を把握して、意図的に話しかけるように努めている。現在の教師の生徒の話し合う姿は、こう

 

 

 


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