教育福島0091号(1984年(S59)06月)-049page

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ふるさと探訪県指定重要文化財(工芸品)

金銅装赤漆塗笈 (一背)

伏笈に属する大型品で、古風を伝える厚手の金具を装着した堅固な作りである。

真言宗智山派清谷寺に伝来した金銅製打ち物金具装箱笈は、山伏笈に属する大型品で、古風を伝える厚手の金具を装着した堅固な作りである。

福島県五条の框には、各々、古風な猪目を透かす八双金具の外に、魚々子地に唐草文・三鈷・独鈷杵・魚具・藻等の海生動植物を毛彫り、及び打ち出し技法で表現している。

上段の扉を右は欠失するが、風鐸をつけた三層塔、蝶番金具は菱花文、下段のケンドン板には蓮台上の輪宝を並置(左輪宝欠失)する。扉とケンドン板を押さえる帖木には、上は蓮台にのる三鈷柄剣、下は三鈷鈴の金具を装し、鈴にはアヤメを魚々子地法で描く。最下の袋戸中央には蓮池があり、左右の八双金具には大きな魚を打ち出し、毛彫を加える。

この清谷寺笈は室町前期ごろの製作とみられ、わが国遺存の山伏笈中、古期に属するものであり、天正二年の紀年銘は真如房の奉納年月とみられ、歴史的に、かつ芸術的に、はなはだ貴重な存在である。

形状 総高七十六センチメートル、上部幅五十七センチメートル、脚開き六十二・五センチメートル、奥行き上部二十六センチメートル、下部三十センチメートル

所在地 いわき市渡辺町上釜戸字堤の内七十番地

所有者 清谷寺


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