教育福島0092号(1984年(S59)07月)-041page

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た子供たちとの相談から、その特徴をあげると、第一に両親の養育態度のあいまいさが指摘される。子供に対して人間としての生き方をしっかり教えることができず、子供に”自分の判断で行動しなさい“と親としての責任を回避している。また、教師の責任が学業指導に傾き、子供の悩みを親身になって受けとめないため、子供たちの迷いは深まっている。(表2)

(2)電話相談について

電話相談の総数は千二百二十九件、昨年度比三百六十七件の増加である。

発信、受信件数とも中学生が五百八十三件と多く、ついで高校生・小学生の順になっている。相談内容を学校種別でみると高校生では登校拒否、シンナー吸引、中学生は登校拒否、家出、小学生は登校拒否、集団不適応が多い。相談によっては氏名を名乗らず、家庭内の問題は秘して、子供の問題行動だけを改善しようとする親が多く、適切な指導に苦慮する場合が少なくない。

 

二、移動教育相談と地域別相談者

本年度は相双、会津、いわき、県南の四会場で延人数百三人の相談を実施した。相談内容によっては、継続的な面接を必要とするものもあり、親や担任教師との電話連絡などで治療指導を行っているがその効果は思うように高まらない現状である。来所相談者を地域別に見ると、県北が半数以上を占め、県中・相双とつづく。少ないのは南会津、会津、いわき、県南で三十人たらずで遠距離からの来所のむずかしさがうかがわれる。(表3)それらの問題を解決する方策として、昭和五十九年度に開設された各教育事務所単位の教育相談事業にその成果を期待したい。

 

三、各関係機関との連携について

来所相談、電話相談とも医学的な治療を必要とすることが少なくない。現在当センターでは子供との面接の過程で必要に応じて、医療機関、児童相談所などとの連携を持ち、問題に対する診断・指導をより適切に行うように配慮すると共に、学校と家庭との連絡を深めるように助言し、子供たちの自立心を育て、自分の力で問題となる状況を切りひらけるよう見守っていきたい。

 

表3 地域別新規受入実人数

表3 地域別新規受入実人数

 

資料 昭和58年度教育相談延人数一覧 教育相談部

 

 

 

 


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