教育福島0092号(1984年(S59)07月)-040page

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教育センターから

 

昭和五十八年度の

教育相談事業を顧みて

 

一、教育相談の実施概況

(1)来所相談について

1)相談人数の推移

昭和五十八年度の相談人数は、移動教育相談を含め相談実人数四百六十四人、相談延人数一千七百十二人である。前年度と比較すると、実人数で九十三人(二十%)、延人数で三百四人(十七・八%)と大幅に増加している。対象別に見ると、実人数・延人数とも中学生が最も多く、ついで高校生・小学生の順になっている。前年度に比べ中学生は実人数で六人、高校生は二十人の増、小学生は十六人の減である。一般は三十五人、教員は五十五人の増であり、この増加は本年度の特色の一つである。(図1)

2)相談者の訴えに見られる特徴

相談者の実人数を相談区分別で見ると、「性格・行動」が全体の八十%以上を占め、ついで「身体神経」「教育一般」の順になっている。更に主訴別にみると性格・行動に関する相談三百七十五人の中で、登校拒否が最も多く二百三人(一般、教員含む)を占め、これは相談実人数の四十三・八%に達している。また、学校種別からみると中学生が五十八人(中学生の相談実人数の五十六・九%)、高校生四十二人(同四十五・七%)となっている。これを前年度と比較すると、中学生は五人、高校生は十一人の増である。 (表1)特に注目すべきことは、昨年度著しい増加が見られた小学生が、本年度はやや減少してきていることである。ついで集団不適応が五十三人であり、なかでも小学生が十六人を占めている。

本年度の相談について学校種別に問題点を整理すると、小学生では親の愛情欠損や母子分離不安が問題行動をおこす背景となることが多く、学校における対人関係のまずさがきっかけになりやすい。

次に、中学生では、現実自己と理想自己とのずれを自分の力で埋めることができず、一人で悩むことが多いのでこの時期は特に親や教師の助言が必要になる。また、子供自身に性格的な問題があるために、いじめの問題に発展する場合もあり、協調性を高め、自立心を育てる配慮が強く望まれる。

高校生では本年度も進路選択に関する問題が多く、入学しても学力面での挫折感を抱いたり、自分の理想像と現実の学校生活との差が大きいために、希望をなくし、進路を変更しようと考える生徒が多く、その際、親との意見のくいちがいから、非行などの行動に走る者も少なくない。更に、高校生として、年齢に応じた判断力が育っていないために、問題行動を引き起こしやすいともいえる。子供たちに倫理観などを教えることのできない家族関係の改善と、学校における指導体制の見なおしを、早期に行う必要がある。

3)社会的問題行動について

万引、シンナー吸引などの問題行動の相談は本年度も増加の傾向にあり、特に高校生が顕著である。主訴別に見ると、小学生では、盗み、中学生は不良交友、家出、万引、シンナー吸引、高校生ではシンナー吸引、万引、不良交友、家出が多い。問題行動が見られ

 

図1 対象別(幼・小・中・高)相談の推移

表1 登校拒否児童生徒の割合

 

表1 登校拒否児童生徒の割合

表1 登校拒否児童生徒の割合

 

表2 相談内容(上位)の推移

表2 相談内容(上位)の推移

 

 

 


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