教育福島0093号(1984年(S59)08月)-015page

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養い、個性の伸長を図ることをねらっている。

したがって、その指導に当たっては次のような点に留意する必要がある。

ア 学級の特質は、学年学級によって様々な実情をもっているので、それらの諸条件を配慮しながら、学級独自の創意工夫のもとに、児童生徒自身による実践活動を育てていく。

イ 分担処理する仕事の種別や数などは、児童生徒の希望を優先して作ることになるので、児童生徒の発達段階を特に考慮し、経験に合わせて、段階的に無理のない内容にする。

ウ 児童生徒の自発的な発意による自治的活動として、児童生徒の手にゆだねられる範囲の中で、自主的にしかも創意工夫を生かした活動を期待するものなので、結果のみに目を向けるのではなく、その過程を重視する。教育的にとり返しのつかないことでなければ、失敗もまた貴重な経験なのである。

 

(三) 自主的活動を促す児童会、生徒会活動

 

児童会、生徒会活動のねらいは、学級会活動のねらいの「学級」を「学校」と換えればよく、本質的にはまったく同じである。(ただし、小学校における実際の運営は、高学年の児童が当たる)

つまり、活動が単なる手段や方法ではなく児童生徒の自発的、自治的活動そのものが、ねらい達成の基本である。

したがって、その指導に当たっては次のような点に配慮する必要がある。

ア 児童生徒自身に自分たちの学校生活上の問題に気づかせ、自発的、自治的な活動意欲を高め、児童生徒自らが、自らの手で解決していこうとする態度を育てる。

イ 児童生徒が学校内の仕事を分担処理していく過程においては、様々な内容の活動を自発的に選定していくことになるが、それが常に児童会、生徒会活動のねらいの達成にふさわしい内容になるようにする。

ウ 児童会、生徒会活動は、全校の児童生徒を対象とし、学級や個人の問題を扱うところではないので、全職員の共通理解が何よりも大切である。

それは、児童会、生徒会活動の本質的な理解とともに、児童生徒が実践活動を進めている内容や過程をも含むものである。そのためには、児童会、生徒会活動について、計画の段階から共通理解を図り、実践の過程では、いつでも指導に当たれる体制にしておくことである。

 

(四) 積極的参加を促す学校行事

 

学校行事の目標は、学校生活に秩序と変化を与える集団活動によって、児童生徒の心身の健全な発達を図り、併せて学校生活の充実と発展に資することである。

○ 行事に積極的に参加させ、日常の学習成果の総合的な発展を図る。

○ 全校及び学年集団への所属感を深めさせるとともに、集団行動における望ましい態度を育てることにある。

したがって、その指導に当たっては、次のような点に配慮する必要がある。

ア 学校行事の運営や参加に当たっては、その目標や計画、内容に即した児童生徒の自発的な参加や自治的な活動ができる機会を生かし、一人ひとりが学校行事の中で十分な活動ができるようにするとともに、児童生徒にも、集団の活動に必要な基本的事項を理解させ、集団活動への正しい参加の在り方を身につけさせる。

イ 比較的大きな集団活動であるためともすると集団の行動のみに目をむけやすいので、集団の活動の過程においても、一人ひとりの参加の状態について、細かに観察し、集団活動への不適応や集団からはみ出す児童生徒の出ないようにする。また、児童生徒の負担過重にならないように

する。

ウ 学校行事は、日常の教育活動では得られない児童生徒との接触場面が多いので、望ましい人間関係の育成に意図的に努める。

エ 児童生徒の学校行事への参加意欲を一層高めるためには、児童生徒に任せる範囲を明確にし、計画の段階から児童生徒に参加させ、彼等の意向もできるだけ尊重する。

以上のことから知・徳・体の調和のとれた発達を目指した学校の教育課程は、各教科、道徳、特別活動の三領域で編成されている。なかでも特別活動は、児童生徒が各教科、道徳などで身につけた知識、技能、能力を学級または学校生活の中で、自らの意志と判断のもとに、総合的に駆使して進められる学習であり、児童生徒の人格形成上特に重要な意義をもつものといえる。

児童(生徒)活動、学校行事、学級指導それぞれの内容や特質を十分に理解し、それらが十分生かされるよう計画し、指導が展開されていくことが大切である。

 

六、生徒指導の充実

 

生徒指導は、「一人ひとりの生徒の人格の価値を尊重し、個性の伸長を図りながら、社会的資質や行動を高めることを目指し、同時に学校の教育目標を達成するための重要な機能の一つでありその機能は、学校の教育活動すべての領域に及ぶものであって、あらゆる教育の場と機会を通じて作用するものである」を本来のねらいとする。

現在、学校における生徒指導上の最も大きな課題は、先ず、多発している小・中学生の非行等問題行動に当面どう対応していくかであり、同時に前述のいわば生徒指導本来のねらいが、学校教育活動の具体的な場面においてどのように機能し、作用しているかの二

 

 

 


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