教育福島0094号(1984年(S59)09月)-005page

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巻頭言

 

子育て

太田美恵子

 

を考え希望をもち、その人なりの様々な形での子育てがなされると思います。

 

十人十色、それぞれ顔形が異なるように、性格も考え方も異なります。まして「子育て」ともなれば、もろもろの条件が加わり、子どもの将来を考え希望をもち、その人なりの様々な形での子育てがなされると思います。

特に働きながらの子育てともなれば、その仕事の種類によっては、時間の配分を考え、誰かの協力を得なければならず大変な事だと思います。働きながらの子育てをしている方々へのインタビュー記事を読みますと、二人の子ども(女の子と男の子)をもつ料理研究家の方は、

 

−男女の差なく育て、お米洗いは二人とも五歳くらいからやりましたし、学校へあがる前に二人に針箱を贈って喜ばれたし…柔かい頭と心のある年ごろからのしつけで、男の子も裁縫も当然のことと思ってやってます。料理も同じです。

しかし、子どもを家事に参加させるのは、親にとっては、忍耐これ忍耐というところがあります。−

また、三十年近く秘書の仕事ひと筋子供一人の方は、1四十代で子どもを持って人生観は百八十度変わりました。でも、会社に百パーセント力を出し切るということはできなくなりました。−

 

あるいは、事業経営者は、

 

仕事ぶりを子どもに見せるが、仕事は子どものためなどといったら子どもにもいい迷惑。仕事はあくまでも自分のため、自分を残したいから…

 

とそれぞれの子育て観があり、素晴しいことだと頭の下がる思いでした。

学生時代に教えを受け、学生が等しくかくありたいと願っていた先生に、職業と家庭は両立するでしょうかと質問したことがあります。私どもは、立派な家庭を築かれ、教師としても申し分のない実績をあげておられる方なので期待通りの答をいただけると思っておりましたが、即座に「両立しません。職場では同僚に、家庭では家族に気がねし、どうしてもどちらかに比重がかかり双方に百パーセントの力を出し切ることはできません」とのお答でした。

また、男性からはたびたび、子どもに自分の仕事や職場での仕事ぶりを見てもらいたい等の願いを聞くにつけ、家庭での母親の役割、仕事ぶりを子どもにわからせるのも子育ての大切な条件だと強く感じております。

幼児期の子育てを経て、少年期、中学校、高校ともなれば子育てもまた異り、子どもに意欲をもたせ、個性豊かに、そして能力を引き出す子育てをと思いながら今更のように親の姿勢の重要さ、厳しさを感じるこの頃です。

(福島県市町村教育委員会連絡協議会長)

 

 

 


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