教育福島0095号(1984年(S59)10月)-023page
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でなく、高等部にも設けられている。
次に、指導内容そのものについてみると、盲学校、聾学校及び養護学校学習指導要領には、精神薄弱養護学校の指導内容は、きわめて概括的にしか示されていない。その代わり、特殊教育諸学校学習指導要領解説−養護学校(精神薄弱教育)編−(昭和五十八年文部省)に、「各教科の具体的内容」として、前述の学習指導要領で示されている各教科の内容を具体化したものが掲載されている。(表2は生活科の例)
この内容配列の特色は、各教科の内容が学部別・学年別の配列になっていないで、1)、2)、3)、4)、5)の五つの発達段階あるいは指導段階別の配列になっていることである。
精神薄弱児は、同じ学年であっても精神発育遅滞の程度は一人一人違うので、同じ指導内容を画一的に用意することはむずかしい。
そこで、このような発達段階あるいは指導段階別に内容を配列しておけば、個々の児童生徒が最も必要としている内容を選択しやすい、というわけである。
各学校では、この「各教科の具体的内容」を参考にして、児童生徒の実態に応じて、内容を選択し、段階数も考慮して、指導内容を整理しておくことが大切である。(表3は作成例)
表2 各教科の具体的内容
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表3 指導内表作成例
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二、児童生徒の学習特性
精神薄弱児の学習特性については、旧養護学校(精神薄弱教育)学習指導要領解説(文部省昭和四十九年二十六〜二十八ページ)に述べられているのでこれにより、次に整理してみよう。
(一) 精神薄弱児の心理特性から
精神薄弱児は、精神の構造が未分化であり、抽象、一般化、応用等の能力に著しい発達遅滞があるため、教育内容を細かく教科別に分けての指導だけでは、知識・技能が断片的にとどまり、それが生活に役立つ生きた知識・技能としての習得にまで高まっていかない。
それゆえに、そうした総合・応用などの能力の弱いものに対しては、未分化なかたちで具体的な生活に即した方法で指導することが、極めて大切である。
(二) 精神薄弱児の性格・行動特性(二次的心理特性)から
一般的に精神薄弱児は、ある課題場面に直面した場合、たとえそれが彼の全能力を投入すれば解決できるはずの課題であっても、他への依存心や過去の失敗経験からくる恐れなどから、解決のためへの積極的な行動を見せることは極めて少ない。
このような行動特性を改善していくためには、課題場面に直面した場合の行動の仕方を、体験的に学習させることが重要となってくる。そして、そのためには彼らが強い興味や必要感をもって真剣に取り組めるような、また彼らの努力によって克服できるような課題をきめ細かく用意しておくことが必要となってくる。
(三) 精神薄弱児の学級集団の特性から
児童生徒の能力に応じた教材を与えるということは、学習指導の前提であり、通常の学級で教科別の一斉授業が行えるのは、各学級がほぼ等質的な集団だからである。養護学校の各学級は、この点極めて異質的で、同一教材を用いた一斉授業は困難である。
そこで、教科別の一斉授業以外の方法が必要になるが、しかしそれは、各個人別に能力に適した教材を与えて行う個別指導を中心にすれば、解決できるというものではない。
精神薄弱児の社会的適応性を高めていくためには、集団生活に参加できるということが重要な意味をもってくる。また、学習指導の場面でも、競争とか協同などの集団活動を通してこそ、児童生徒の意欲が高まり、したがって学習効果も上がるのである。
このように、精神薄弱児の学習指導は、主として集団活動の中で行われるとすれば、個人差の大きな学級の一人一人の児童生徒の能力に応じた教材を与えながら、しかも全体を一つの集団として活動させるためには、特別な工夫が必要となってくる。すなわち、領域の内容を合わせたり、教科の内容を合わせたりして指導することは、そのような要求にこたえる方法である。
三、指導の形態
精神薄弱養護学校では、第一節で述
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