教育福島0095号(1984年(S59)10月)-047page

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たしかめやグループ単位での評価の方法をとった。その評価を、教師側では、一覧表を作成し、学習のつまずきを調べることにした。

2) 評価一覧表の作成

学習指導要領等をもとにまとめた評価の観点を参考にして、仕上がった作品を評価した。とくに造形要素をおさえた観点をチェックし個人の特性を調べた。

3) 生徒が自己診断できる工夫

自己評価表を作成し、単位時間ごとの評価や評価の方法・反省のしかたなどを工夫した。

第二年次の研究の結果から、一単位時間内における評価は、学習のつまずきを認識して、教師と生徒がともに学習活動にとりくむことができる。また意欲の喚起の面でも効果があった。しかし、問題解決のための練り合いのしかた、場の設定は不十分であった。

(三) 第三年次の研究

1) 題材と学習内容の位置づけ

生徒が自ら主題を認識して表現することができるようにするためには、基礎・基本的なことを身につけさせておかねばならない。したがって、題材配当とそれにかかわる基本的な造形要素を分類し把握させることにした。

2) 一単位時間内における評価を継続的に行う(資料1、2)

 

表1 自己評価表

表1 自己評価表

 

表2 単位時間内における評価一覧表

表2 単位時間内における評価一覧表

 

第二年次に行った、単位時間内における評価は、次時の学習課題を把握することができ、個別的にアドバイスする手がかりとなるので継続して行うことにした。

3) ノートの工夫・改善

学習の定着をはかるためには、学習の累積記録も大切である。また、教師は学習活動の中から、生徒の心の変化や活動の様子、変容をたしかめるうえでもノートが大切である。

基本的事項をおさえ、各題材の中でとりあげて指導することは、指導の重点をはかるうえでも有効であった。単位時間内における評価も、学習のつまずきを認識してとりくむことができた。また、学習活動の記録は、次時の学習活動へと関連させることができた。

 

四、研究のまとめと今後の課題

(一) 美術科の目標と評価の観点を明らかにすることで、何時間という指導計画の中で、指導すべき内容を明確におさえることができた。

(二) 評価の観点を明らかにしていくことで、題材の中で、把握させるべき基本的事項を毎時の指導過程の中でおさえることができた。

(三) 単位時間内における評価、自己評価の活用など、評価のありかたの研究は、生徒の実態を把握し、毎時の指導のありかたを反省する材料となつた。ややもすると作品のできばえに固執し、毎時のつみかさねがおろそかになりがちであったが、指導の流れを把握することで、授業の体質改善をはかるうえでも効果があった。と言える。

(四) 資料を累積することで、次年度の指導の方針・指導の重点を明確におさえることができた。

(五) 評価の観点・評価のありかた、さらに学習ノートの工夫等を実践してきたが今後の課題としては、

1) 前時までの評価の問題と本時との関連を確認し、学習活動をよりよい状態に高めるための手だてをどのようにすべきか研究しなければならない。

2) 生徒が、うきぼりにした学習のつまずき(問題点)をいつ、どのように解決させるか、明確にしていかなければならない。

 

 

 


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