教育福島0095号(1984年(S59)10月)-046page
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わたしの研究実践〔2〕
美術科における観点別評価の研究
福島市立松陵中学校教諭 宍戸賢一
一、研究の趣旨
美術科における評価を考えてみると作品中心となり、作品のできばえに左右され評価してきたように思える。そのような中での授業は、題材に対しての指導計画や単位時間内における指導内容の精選・指導の重点など考えず、ただ生徒に製作させることのみに時間を費やしてきたようである。
一つの作品を仕上げるためには何時間という学習活動の時間が費やされている。毎時間の学習の積み重ねの結果として作品が生まれてくる。学習する生徒は、毎時間、何を学び、自分のものとして表現しているのだろうかという問題が生まれてくる。そこで、授業者は、生徒の実態をつかみ、生徒たちが主題を的確につかみ表現させるための手段をあたえてやらなければならない。
実態をつかむことは、指導上の問題点を把握し、授業の改善をはかるための資料を収集することにある。このような点から、生徒たちが自分の考えや心の中にあるものをよりょく表現させるためには、毎時間の生徒の学習の定着の度合を調べたり、学習のつまずきをみつけ、援助、指導してやることが必要と考えたからである。
(一) 現在までの評価を反省し、各観点別におさえ、生徒の実態・指導の反省を明らかにできる資料の収集をする。
(二) 評価の資料を累積することによって指導上の問題点・生徒の実態を把握する。
(三) 評価することは、すなわち指導の反省であり、累積記録からどのような手だてを考慮すればよいかを発見し、実態にあった題材の選定・指導内容の精選をはかる。
二、研究内容
(一) 第一年次の研究
1)学習指導要領・指導書・指導要録付属資料から具体的な観点を考える。
2)題材配当とその評価の観点を明らかにする。
3)生徒の実態把握・指導の反省のための評価の記録・資料づくりをする。
4)期末テスト等の作問の工夫をする。
5)自己評価表の活用。
(二) 第二年次の研究
1)一年次の資料をもとにして、単位時間内における評価のありかたを工夫する。
2)生徒が自己診断できる評価表の工夫。
(三) 第三年次の研究
1) 題材と学習内容の位置づけを明確にする。
2) 単位時間内における評価のありかたを工夫する。
3) 学習ノートの工夫・改善をする。
三、研究実践の概要
(一) 第一年次の研究から
1) 評価の観点を明らかにする。
指導要領・指導書・指導要録付属資料等から、美術科における学習の目標を的確につかみ、表現や鑑賞の学習のねらいをおさえた。
2) 題材配当と評価の観点を明らかにする。
1)でおさえた内容を題材配当の中でさらにおさえた。広地域カリキュラムを自校化し、題材の目標からおさえたい内容を精選し、学習内容および評価の観点とした。
3) 評価の実際
1)、2)でおさえた評価の観点をもとに評価した。
多くの資料を収集することができたが、それを指導の中でどのように活用し、授業の改善に生かすなど、資料のまとめができなかった。
(二) 第二年次の研究
一年次の反省や問題点をもとに資料の収集だけでなく、一題材の中でどこに問題点があり、学習をすすめる上でどこに弱点があるのかを調べることにした。そうすることにより生徒個々が自らの課題をつかみ、表現するようになり、表現の能力が向上すると考えた。
1) 単位時間内における評価
自己評価表を作成し、一単位時間ごとに観点をもうけ、造形学習の基本的事項をおさえ評価させた。
評価のしかたは、学習の終末の段階で、教師と生徒との一対一の
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