教育福島0095号(1984年(S59)10月)-057page

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ふるさと探訪県指定重要文化財(考古資料)

大椎遺跡出土品−瓶子−

所在地 伊達郡桑折町字陣屋十二番地旧伊達郡役所内

所有者 桑折町

所有者の住所 伊達郡桑折町字東大隅十八番地

伊達氏の居城赤館(西山城)南麓の県指定天然記念物「万正寺の大カヤ」付近から出土したものである。明治十年灰釉梅花唐草文瓶子が発見され、中に炭と骨片が入っていたため、観音寺境内に埋納された。昭和二十六年には、灰釉瓶子、片口鉢を蓋にした骨片の入った甕が発見された。この時灰釉梅花唐草文瓶子も再発掘された。

灰釉梅花唐草文瓶子は、肩及び口縁の一部が意図的に欠けていたが、昭和五十六年、石膏により復元された。やや肩の張った丸肩で、なだらかに底部に及び、均整のとれた形を呈している。肩から体部にかけて、梅花文と唐草文が浅く印せられ、その上にオリーブ色の粕がかけられている。

灰釉瓶子も、口縁部が欠損している。強く肩が張り、体部下半はくびれ、底部に向かって開く。全体に明るい灰白色の薄い灰釉がかけられ、焼きはきわめて良好である。

灰釉梅花唐草文瓶子は、十四世紀、灰釉瓶子は十三世紀の瀬戸産で、佳作であり本県出土の中世陶器中の優品である。

出土地は、伊達氏の菩提寺である伊達五山の観音寺に近接している所でも

あり、本県中世史上重要な意義をもつ考古資料である。

灰釉梅花唐草文瓶子(高さ二十七センチメートル、底径十センチメートル)

灰釉梅花唐草文瓶子(高さ二十七センチメートル、底径十センチメートル)

灰釉瓶子(高さ三十センチメートル、底径十四センチメートル)

灰釉瓶子(高さ三十センチメートル、底径十四センチメートル)

郷土の文化財


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