教育福島0097号(1984年(S59)12月)-018page
2、中ノ目の会津大念仏踊塩川町
3、豊景神社の太々神楽 郡山市
4、下山の早乙女踊 南郷村
5、根宿の天王祭太鼓 矢吹町
6、高瀬の鹿舞 浪江町
7、北須釜の獅子舞と平鍬踊 玉川村
8、赤枝の彼岸獅子舞 磐梯町
九、第五回福島県民謡まつり
近年の急速な社会情勢の変化は、生活様式や風俗慣習などに大きな変化をもたらしている。それだけに、生活や仕事に密着して伝承されてきた民謡も変化をとげ、古来の姿を日ごとに失いつつある。
これらの民謡を発掘して、一般に公開し、文化財としての価値の認識を深めるとともに、記録保存を図り、将来に伝えることを目的として開催している。本年度は、次により開催する予定である。
○日時 昭和六十年一月二十日
○会場 相馬市民会館
○公開演目 未定
十、埋蔵文化財保護の現況
(一) 遺跡周知事業
昨年度より二カ年事業として実施しているが、順調に事業は進み、このほど二万五千分の一地図に遺跡範囲を記入した「遺跡地図」と、「遺跡一覧表」の印刷が完了し配布された。
これによると県下の遺跡総数は、八千五十五カ所となり、昭和五十五年に比べ、千七百六十八カ所増加したことになる。今後これをもとに、さらに一層遺跡の周知に努力する必要がある。
(二) 指定文化財管理事業
一般に文化財パトロール事業と呼ばれているもので、二十一名の「福島県文化財保護指導委員」が、六百七十カ所を年二回巡視している。
パトロール対象物件は、国・県指定の国宝・重要文化財および重要遺跡で保存、管理等の問題があれば、関係機関に連絡の上対処することとしている。
(三) 発掘技術者の研修
開発関連の発掘調査が各地で行われているが、慢性的調査員不足に悩まされている現状にある。そのため各種の研修を実施し、積極的に参加するよう呼びかけている。
国の埋蔵文化財センターの研修には本年度分までに次の課程の受講者があった。一般課程一ケ月間、渡辺重治(福島市教委)、双石正義(白河市教委)、中山雅弘(財・いわき市教育文化事業団)、水沼良夫(天栄村史編さん室)。埋蔵文化財基礎課程一週間、佐藤勝夫(県文化センター遺跡調査課)。特別研修石器調査課程二日間、松本茂(県文化センター遺跡調査課)。
県教委主催の「第十二回福島県発掘技術者講習会」は、須賀川市教委と共催で、十六名の受講者を対象に七日間実施した。遺物の見方、実測に重点をおいた講習であった。
(四) 開発に伴う発掘調査
遺跡は現状のまま保存するのが最善であるが、各種の開発事業によって消滅する場合も少なくない。このような場合は、開発前に記録保存の資料を得るための発掘調査を行うこととしている。今年度県教委で実施している調査は次の通りであるが、発掘は県文化センターに委託している。調査費は、三億円をこえるぼう大な金額であり、調査を行う遺跡調査課職員は新たに四名増えて、三十名体制となった。母畑地区・矢吹地区・会津農水事業・相馬地域開発・国道一一三号バイパス関連の遺跡分布調査および発掘調査を行う。
(五) 本年度の主な発掘調査
1、志古山遺跡(天栄村)
道路拡幅工事に伴う調査で、竪穴住居跡と掘立柱建物が検出されている。持に掘立柱の掘り方は、一辺二メートル前後の大きさのものがあり、県内で最も大きく、官衙風の建物である。ここからは、かつて「文部私印」が発見されており、続日本後紀にみえる「磐瀬郡権大領丈部宗成」との関連などで、大変興味深く重要な遺跡である。
天栄村・志古山遺跡(掘立柱建物の柱跡)
霊山町・武ノ内遺跡(配石遺構)