教育福島0097号(1984年(S59)12月)-045page
ふるさと探訪
県指定重要文化財 (彫刻)
木造薬師如来坐像 (一◆)
像高 五十三・四センチメートル
ヒノキ材の寄木造で、右手施無畏印左手に薬壼を持つ。
漆箔で右肩・左右袖・膝部ではぎ合わせる。玉眼嵌入であったが、現在は失われている。頭部に肉髻低く、螺髪は切付けで、髪際線は面部の正面で軽く下方に曲線を描く。耳柔の張りもよく、鎌倉時代末期作の特徴をよく示している。
なお、面顎部に、「仏子院誉」、その下方に、「檀那陸連比丘善来造立」、背部に、「□□三年丙寅□(卯)月廿八日」の銘があり、常磐湯本惣善寺の阿弥陀如来像の銘との関連で、正中三年(一三二八)の造立であることが明らかである。また、膝裏に、「応永二十一年(一四一四)十一月二十二日」の修理銘がある。
院誉は、横浜市金沢区慶珊寺の十一面観音(正慶元年)(一三二二)銘・国重文)の作者と同一とみられる。この像は、昭和十九年九月六日重要美術品に認定されている。
所在地 いわき市小名浜住吉字新町6番地
所有者 保福寺