教育福島0098号(1985年(S60)01月)-030page
研究論文特選
一人立ちの学習をめざした理科学習指導
会津若松市立鶴城小学校教諭
加藤 紘一
一、研究の趣旨
本校の研究テーマである『自ら追究する子どもを育てる授業の研究』に取り組み、これまで次のような実践をしてきた。
○55年度 教材提示と小集団学習の位置づけの工夫
○56年度 指導計画、教材提示とまとめの活動の充実
○57年度 チェックカードによる自己評価とノート指導
○58年度 ノート指導を中心とした学習訓練と評価
これらの実践の中で、学習に強い興味を示し、意欲的に取り組む児童の姿が見られた。しかし、次のような問題点をあげることができる。
・ 興味・関心や疑問を喚起する事象提示によって児童の問題解決意欲をそそることはできたが、その反面、教師主導の路線づけによる学習指導が強かった。
・ 毎時間、学級全体が同一課題を追究する学習指導であり、教師サイドの、教師の都合が優先したものであった。
自ら追究するということは、本質的に個人が大切にされ、個人の関心・疑問から問題意識が生じ、個々に学習が成立しなければならないと考える。
そこで、児童の学習をもっと教師の手もとから引きはなし、児童主導の学習ができるように、授業の体質改善をしなければならないと感じた。そのために教師はどのような手だてを講じたらよいか、実践を通して明らかにしていきたいと考え、本主題を設定した。
二、研究仮説
次のような手だてを講ずれば、一人立ちの理科学習が展開でき、自ら追究する児童を育てることができるであろう。
・ 単元の学習内容をとらえさせ、見とおしを持たせる学習計画
・ 学習の仕方を分からせ、ガイドとなるような手引書の作成
・ 自分の思考過程や認識の足跡を記すノートづくりと自己評価
三、研究方法・内容
(1) 単元の指導目標・内容を観点別に分析し、チェックリスト及び自己評価をもとにして形成的評価をする。
(2) 事前テスト及び事象提示、教科書等をもとにして、学習内容や順序をとらえて、学習計画を立てさせる。
(3) 児童の問題意識により、枝分かれ学習の場を設定し、単元あるいは小単元のどこからでも追究できるような単元構成をし、指導計画を作成する。
(4) 児童一人一人の学習が成立し、問題解決に向かって追究していけるような学習手引書を作成する。また、手引書の中に自己評価を設定する。
(5) 児童が問題を追求する過程で、思考や認識の手助けとなるような教師の働きかけを工夫する。
(6) 問題解決に取り組む際に、人間関係を考慮し、効率的な協同学習が進められるような小集団を工夫する。
(7) 思考の足跡を残し、観察実験の態度を育て、情意面を大切にしたノー
加藤紘一先生の授業風景(鶴城小)