教育福島0098号(1985年(S60)01月)-031page

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トづくりをさせる。

 

四、実践

 

実践例1) 五年「食塩水のこさと重さ」

 

(1) 一つの事象からさまざまな問題意識をもつ子ども

この単元を分析してみると資料1のようになる。教科書では「こさのちがう食塩水はどのようにして見分けたらよいか」という課題がのっているが、このような課題意識は児童からは出てこない。これは教師から投げかけた課題である。

一人一人に食塩を水に溶かさせ、そのときの事象を見つめさせると、実に多様な興味・関心を示した。気づいたことや疑問を抱いたことから学習問題を作成させ束ねてみると四つの問題グループに分けることができた。

児童がとらえた問題を生かし、児童の活動を主体にして単元の追究ができないかどうか検討してみた。その結果指導要領に示された四つの目標に到達させることが可能であると判断した。

そこで、教師の働きかけを次のように講じた。

○ 自分たちがとらえた問題は、単元の重要な学習内容にかかわるものであることを教え、励みを与えること。

○ 毎時間、課題別グループが同時に追究を展開していく際に、ヒントや自己確かめともなる情報を提供すること。

○ 各グループが、どのような学習をしているのか、全体を束ねる一斉学習の場を設定すること。その中で、他のグループの課題に追究を進める目を開いてやること。

○ 一人一人に自分のノートづくりに取り組ませるだけでなく、グループとしてのレポートづくりをさせる。

(2) 授業経過(省略)

(3) 授業実践後の反省

「食塩水のこさと重さ」の実践をした結果、次のような問題点が出てきた。

ア、学習計画が明確でなく、カリキュラムで計画されている時間数ではとうてい足りず、大へん時間がかかるものであること。

イ、児童が十分学習内容を把握しておらず、解決連鎖的に学習が展開されるために、単元の指導目標内容から逸脱した方向へ広がったり、深入りしすぎたりすること。

ウ、そのときに、教師の働きかけによって引き戻したり、軌道修正を加えたりすると、児童の意欲に水をさす結果になりがちであること。

 

一方、次のようなよい面も見られた。

ア、児童の課題解決への意欲が強く、自分の学習をしているという意識で、大へん積極的な学習活動が展開されたこと。

イ、同じ問題意識の友達同志で小集団を作ったため、分担や考えの交流が円滑に行われたこと。

ウ、教師からの情報を、ゆきづまつたときや、解決できたあとで、目を輝やかせて読んでいたこと。

以上のような反省をふまえ、一人一人の児童が学習課題を主体的に受けとめ、自ら追究し、一人立ちする理科学習をめざして検討し、修正をした。

 

・ 単元の導入時に具体的な事象を提示すると共に、教科書等を読んで学習内容をとらえさせ、単元の学習計画を立てさせること。

・ 学習のガイドになるような学習手引書を作成すること。

 

実践2) 六年「電磁石」

(1)「なぜ、ベルが鳴るのだろう」

−−学習計画を立てる

この単元では、初めにベルやモーターの模型を提示して自由に操作させたり、いくつかの電磁石を見せた。児童は大へん興味を示し「自分も作ってみたい」、「なぜベルが鳴るのか」、「電磁石はどんなしくみになっているのか」など追究意欲が見られた。そして、教科書の一人調べによってとらえた学習内容をもとにして、児童がとらえた興味・関心・疑問を出し合わせて話し合ったことをまとめると資料2のようにまとめあげることができた。

児童の問題意識が指導目標と結びつくように児童と共にまとめていったが

 

資料1 「食塩水のこさと重さ」単元構造図

 

 

 

 


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